石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】 その四十

「気が付かない責任者たち・・・」

先日、また、日経BP社の依頼で仙台へ行ってきました。

地元で、ビジネスホテルと1Fで飲食店経営している社長がいるが、厳しい状況だというのです。その店は、仙台駅からJR数分の駅の駅前に位置していました。

いつものように物件を客観的に眺め、周辺を歩くという作業をして、すぐに売れない店である事に納得がいきました。

これほど「????」が付く店に久しぶりに出会ったと言う感じなのです。

駅前ですから、他にもお店がいくつもあるわけですが、その中で最も暗く、最も目立たないのです。大衆的な店でこれは致命的です。〈大衆的〉というのは私は前もって聞かされていたから解かるのですが、それさえ一般のお客様はわからないでしょう。

店を認知させる看板が、ホテル優先のため、無いに等しいのです。(あ~あ~っ)

さらに、驚いた事に、ビルの上階が経営者の住まいになっているのでしょう。駅を出た通行動線の人々に洗濯物が丸見えなのです。生活観丸出しでは夢も希望もありませんよ。

なぜ、こんなことに気が付かないのでしょうか。多くの方は同じタイプなのですが、ここのご主人も例外ではありませんでした。調理場に入りきりで、作業の連続、『全くお客様目線がない』のです。店内には、もう上げたら切りがないほどの指摘注意材料が満載でした。

翌日、そのままの足で、東京に戻り、ランチでも食べてから行こうかなと青山のオフィスまでぷらぷらと歩いて向かっていたところ、一枚の看板に出遭いました。

周辺のお店はそろそろランチタイムがピークを迎えるころで、サラリーマンやOLさんでにぎわい始めていたのですが、その看板のお店は心なしかさびしい感じなのです。

じっくり眺めて見ると、そのボード看板は、綺麗丁寧な字で、商品にはキャプションが付いたスタッフの方が良く考えた末にできた内容なんでしょう、見てくれはとてもよいのです。

ところが、石田は思わず「アチャー」っとうめいてしまいました。ランチがABCとそれぞれあるのですが、なんとどれも価格が書かれていないのです。

これでは、お客様の足は店内に向かいません。その店は2階にあるのでなさらです。

お客様は、《わからない不信なものは手に入れようとはしないのです。》

商品を衝動的に手に入れようと考えても、迷った瞬間、その衝動は消えるのです。価格という情報は最もその心を左右しますね。

お客様目線で、もう一度、看板をチェックしなかった責任者の怠慢が、売上減少につながるのは言うまでもありませんね。♪