石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その四十九

私事で恐縮ですが、最近、後期高齢者保険証というのが、私の母親にも届きました。

「そういえば、母ももう歳なんだなあ・・・」と実感させられた瞬間でした。

この名称は、世間で皆さんが言っている様になんだかそろそろですよ、と国に言われているようで、私も「後期ってひどいなあ」と思わずつぶやいたのです。

なんだか、その後、母が元気がないなあと思っていたら、高血圧で倒れて、病院へ直行という事態になりました。

後期を実感させられて、思い切り元気なくしたのは母本人だったのかもしれません。

幸い大事には至らず、家族が面倒も見られますので、母は幸せな方かもしれません。

誰もが歳を取りますが、体力知力ともに同じではいられません。

私たち経営者の中にもそこのところをそろそろ意識する必要がある方もいらっしゃいますよね。

健康と後継者、どう考えたらよいのでしょう。

 

経営者の健康と後継者

健康については、皆さんいろいろ工夫をなさっているのを良く聞きます。

サプリメントを毎食時、ゴハンのように食べているヒト、これが一番だと決めて実行しているヒト(実は石田はこれです、青汁が最高です)、時間と金を使って集中的に手入れをするヒト(最近なんと7日間の断食に行ってきた社長がいますが、帰ってきてからの食生活まで健全にして確かに健康そうです)、いずれにしても小規模零細のうちはどうあがいても社長の頭とカラダが会社を左右してしまいます、倒れようものなら明日も困るという企業が少なくありませんね。

ですから、贅沢ではなく、経営者が健康について注意深くすることは、社員やそれに順ずる方々を守ることでもあるのです。

とは言っても万が一ということもありますし、健康を害することもあるわけです。

そこで自分の後を引き継げる候補を早いうちから選定し、その教育をしていくのも経営者の勤めでしょう。

ただ、なかなかそこのところまで踏み込んでいない、まだできない方のほうが圧倒的に多いようです。

さらに、その気はあるけど、実際にはまだまだ俺は大丈夫、俺を越すにはウチの社員じゃ10年早いわ、と後継者である実の息子にさえも、何も任さないという困った社長さんもいらっしゃいます。

ヒトに任せていくことが、なぜか自分が外れていくようで寂しいのでしょうね。

でも解る気もしますね、先日の新聞で高齢者の凶悪事件が目立つとなっていましたが、どうも元気な高齢者が多いようで、ある大学の先生の調べでは30年前と今の70代では15~20歳も体力が違うらしいのです。

そりゃ、奥にひっこみたくないわけです。

そうはいっても考えても見てください、飲食店の場合はスタッフもディスプレイです。

元気なだけで自分が浮いていたのでは、商売に影響がでるのです、そしてそのことに気がつかないことが問題であり、歳だと言われるわけです。

業態によっては、スタッフ交替が積年の中行われ、経営者と世代間格差が広がって話が合わないということが、スタッフの定着率を下げ、更なる悪循環を生み出すということにもなっているケースもあります。

ただ、個人店としての個人文化(文化オタク)を実現することが幸せと感じ、お店を始めた方には灰になるまでがんばってもらいたいと思います。

こだわりや技術の表現が幸せだと感じる主義は、巨大化や拡大路線とは無縁ですから、時間は充分ありますし、ごく少数の支持者があればいいわけです。

組織を目指す方は早く辞め方を考えなければならないなんて、石田も夢のないこというなあ、と思うかもしれませんが、勘違いしてはいけません。

巨大化や拡大路線の中で自分を見失うまで、我を通して気がつかないということが起きないように権限委譲をできる人間を早いうちから育てて、権限を与えてほしいのです。

結果的に必ず笑顔になれると思います。

だって、私の周辺には《気がついたら自分の下は20歳以上も下ばかり、会社を始めた時の社員は誰もいない》という会社が存在しますが、未だその社長はわかっていません。

そしていつも「タイヘンだタイヘンだ。俺が出れば簡単なことなのに誰もできるやつがいない」と頭を抱えて悩んでいます。

オレガオレガの俺俺社長では、優秀な社員は3年持たないのです。

将来が笑顔になれるよう是非、後継問題をたまに時間かけて考えていただきたいですね。