石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その五十ニ

大阪の長くお付き合いをしている社長が自分一人だけでやれる鉄板焼きのお店をオープンしました。

営業時間に行ってみようと夜の8時ごろに扉を開けました。

8席のカウンターだけの店ですから、さすがにいっぱいで私一人分の1席があいていたのはホント、ラッキーでした。

「今日はお客さんで来たよ。おまかせしますから適当に食べさせてちょうだい」

石田が好きなタイプのおやじのお店だったのでつい飲みすぎてしまいました。

何よりも忙しく働いている社長の表情がとても前と違って明るく楽しそうだったので安心しました。

 

「この20年間、もう人で疲れました。

人件費が高騰しただけではなくて、権利主張が昔に比べはるかにレベルが高くなって応えきれません。

それなのにスキルアップはサラリーマン的でなかなか個人の強さを出してくれません。

権利主張をするなら義務もしっかりやれと説教すると、従業員を大切に考えてくれず自分をわかってくれない会社にはいられないとやめてしまう。

経営者仲間と話してもそんな人が増えているという感じです。

自分のことを自分で解決できる一人業態が一番ですよ。

これから定年で第二の人生をおくる方が希望を持てる店を作ってこれをノウハウとして先生と広げましょうよ。

500万で楽しい第二の人生が手に入ったら最高でしょ」

 

半年前こんな話から形になったのがこの店です。

拡大路線や巨大化の店が相次いでひどい状況になっているのを思えば、彼の考えは、充分なビジネスモデルになるのかもしれません。

ただ、人の問題に関しては、まだまだ捨てたもんじゃないと思える方々と出会う機会も多くありますから、「探す、教育する」をあきらめず努力したいものです。

 

まごころに出会った瞬間

鉄板焼のお店で過ごした翌日のお昼、時間のない中でお腹を膨らませようと久しぶりに吉野家サンに入りました。

私の定番は牛丼ではなくて[牛鮭定食530円]です。

お腹を膨らますことのみが目的のときは、気軽に入れて値段は安く、余計なデコレーションがない和風FFは最適です。

目的以外何にも期待がないときに予想外のことに出会うと驚きや感動が生まれるものですが、まさに吉野家サンでそれが起こるとは思いもしませんでした。

定食を食べ終わった私は朝飲むのを忘れていた薬を思い出し、遅れたけど、今飲んでおこうとカバンをごそごそ、最初に出された冷たいお茶が残っているから、それで流し込もうとしたそのときです。

「どうぞ」というやさしい言葉と笑顔の若い女性がグラスにお水を持ってきて出してくれたのです。

びっくりしました。

下を向いて薬を包装から出す行為に集中していた私は顔をあげた瞬間、彼女の笑顔が天使のように見えましたね。

若いお嬢さんなのにこんなにやさしい気づかいができるなんて凄いなあと、それも失礼だけど吉野家サンで出会うなんて予想外です。

その日1日気分がよかったですね。

来月の大阪もまたこの店に絶対行こうと今も思っているイシダです。

中国人の女性でしたが、まごころ、やさしさというのは世界共通の心の表現なんですね。

サービス業というのは心の交流業かもしれませんね。