石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その六十一

スターバックスには、接客マニュアルがないそうです。

お客様対応は自分で考え、自分で表現するように指導しているそうです。

そのための前段教育はいろいろしているのは言うまでもありません。

「一品入魂・一客入魂」の時代が来たんだなと実感することが多くあります。

ファッション業界でのFOREVER 21「H&M」の商品構成や携帯の個性化、飲食業界の大手チェーンの衰退など、まだまだマインドで動く人がいるのは確かですが、ひとりひとりが個性的になり価値観が違ってハートが我儘になっているような気がするのです。

個に対してマニュアルは一部しか通用しません。

ハートにはハートで対応しなくてはだめな時代になってきているんでしょうね。

今回はそんなお客様と微妙なやり取りをする現場の一場面をスタッフが解説してくれました。

以下ご一読を。

バッシング

飲食店用語で、お客様の食べ終わった皿やフォーク、スプーンなどを下げる作業のことを「バッシング」といいますが、このバッシングのタイミングというのは難しいもので、場合によっては、バッシングがお客様にとって「ストレス」になることが多いことをご存知ですか。

「フォークとナイフを置いた瞬間、下げられた」(見張られているの!?)、逆に「食べ終わっているのに、片付けない」、「空いた皿を下げないで次の料理を持ってくる」、「まだ料理が残っているのに、無言で下げられた」(まだ食べているのに…)、「皿だけでなく、箸まで下げられた」(もう帰れってこと!?)等々、挙げたらキリがありません。

飲食店にとって、バッシングすることは早期退店を促すといった意味合いもあり、「空いたお皿は確認してすぐ下げる事」とマニュアルに記すお店もありますが、セッセと下げる作業(効率)ばかりを優先させては、お客様にとって居心地のよい店であるはずがありません。

早過ぎてもダメ、しなくてもダメ、食べ終わって一息ついて、片付けてほしいなあと思う頃の絶妙のタイミングというのは、気遣いや経験がなければできるものではありません。

考えてみるとこれほどお店の実力がわかるサービスはないのかもしれませんね。

マニュアル教育のせいでしょうか、まるで、バッシングが使命と考えているような店員さんがなかにはいますね。

「食べ終わった瞬間下げられた」、「料理がだいぶ残っているのに、お済ですか?と下げられそうになった」、「下げてよいか聞かれたが、返事をする前に下げられた」、なかには確認もせず、「料理が残っているのに、無言で下げられた」や「ビールが一口二口残っているのに下げられた」等、バッシングの際、お客様の感じるストレスはちょっとしたことからクレームになることまで数多くあるのです。

おそらく、不満に思っても口に出さないお客様も大勢いらっしゃいますね。

「こちらはお下げしてもよろしいでしょうか?」の一言(確認)もなく、無言で下げるのは論外ですが、何でも聞けばよいというものでもありませんね。

「料理が残っているのに下げてよいか聞かれ、答える前に下げられた」は、サービスとしてあり得ないことではないでしょうか。

少なくとも効率だけを考えての確認はやめたいものです。

あと、料理をすべて食べ終え、紙ナプキンを丸めて皿にのせてある状態で、「こちらはお下げしてもよろしいでしようか?」もやめてください。

明らかに終わっているのですから。