石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その六十ニ

「イシダさん、5~6回胃潰瘍やってますねぇ」

「へぇ~それがその跡ですか?」

ここのところ友人がガンになったり、脳溢血で倒れたり、年齢的にもそんな時期なのかなあってなことを顧問店の社長に話したところ「先生、人間ドックでいいところありますから予約しますよ」と言ってくれたので、それじゃと重い腰上げて行ってきました。

他人事のように見える自分の胃の写真を見ながら言ったのが、冒頭のセリフです。

「こう何回も潰瘍ができてるのはストレスが原因のひとつなのは間違いないですよ」

他の検査は結果が二週間後ですが、それまでは飲んでストレス解消するしかないかなぁとどこまでも不謹慎な石田です。

飲食店の役割のひとつ

作家の開高健さんが [肉体が疲労のときは、酒より甘いものが欲しくなる。オツムとかココロとかがくたびれてくると酒が欲しくなる] とおっしゃったそうですが、なるほど飲み助でかつ甘いもの好きの私もそうだなあと納得してしまいます。

多くの方が行きつけというお店があるようですが、イシダもそこに行くとなぜか気持が軽くなります。

カウンターが10席ほどの店ですが、ほとんど変わらない顔ぶれがいつもいて、マスターが完全にため口で、客の多くが私より年上ですが、私もため口、勝手飲みしている人はほとんどいなくて話題が飛ぶに飛んでも皆ついてくる、まさにそこには独自コミュニティーが形成されています。

最近そんな店が集合した形で、恵比寿や池袋などにイベントスペースのように出現、活況を呈しているようです。

もともと新宿ゴールデン街や池袋ションベン横丁など息が長くつづいてきた業態が表側に出てきたということですね。

一方でひとりになりたい、どっぷりつからない人間関係の中で軽く過ごしたいという人向きのキャッシュオンデリバリーのアイリッシュパブや立ち飲み居酒屋も調子が良いようです。

現在のように経済が疲弊していて、なんだか変な事件が続けて起こるようなせちがらい世の中になると、飲食欲が癒しを求めるのかも知れません。

スイーツブームや昔ドリンク復活のハイボール・ホッピーの人気はそんな時代背景が裏側にあるのかもしれませんね。

もっとシンミリしてくれば、今度は日本酒なんでしょうかね。

何にしろ飲食店はいつの時代でもそのあり方に役割を求められるのでしょう。

時代において行かれないようアンテナ張りましょう。

あ、蛇足ですが開高健さんは元サントリーの宣伝マンだったのです。我々と少なからず縁があったんですね。