石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その111

先月、講演で久しぶりに鹿児島に行ってきました。

前日に着いたため、夕食は一人で孤独のグルメでした。

さすが焼酎の本場だけあってぶらりと入った店でしたが豊富な品ぞろえと品質、そしてその価格には満足させてもらいました。

お酒だけではなく料理も美味しく、なんだか気分が楽しくなって、翌日が講演なのにちょっと飲み過ぎてしまいました。

まあ、“飲食”というのは美味と“喜・楽”が重なると魔法がかかってしまうのでしょうね。

(あ、言い訳です)。

でも講演を無事終えて、帰りの飛行機で、別の魔法にかかってしまいました・・・。

 

『語られる商品作りはお客様を呼ぶ』

飛行機に乗ると雑誌に目を通すのは習慣ですが、JALの時は、浅田次郎さんのエッセイが面白いので最初に読み始めます。

帰りの便の8月号のタイトルは「しろくま」でした。

「なんのこっちゃ」と思いながら読み進むとどうやら飲食店の商品のことでした。

なんでも浅田さんが以前、取材で訪れた店で、偶然食べたところ、衝撃を受けたとのこと。

打ち合わせがてらだったので、きちんと食べたわけではない「しろくま」をいつか真正面から向き合って食べたかったが、なかなか機会がなく、今回熊本に来たのでわざわざそのために鹿児島に足を運んだということが、とうとうと書かれているのを読んでいるうちに石田も食べてみたい衝動がふつふつと涌いてきました。

ましてや繁華街の天文館にあるその店は、さっき石田がエアポート行きのバスに乗ったすぐ目と鼻の先にあった店ではありませんか。

その氷菓子のデザートを楽しく食べるために、わざと観光をしてご飯を食べて、いざ「しろくま」ということで、念願をかなえた浅田さんはなんとお代わりをして二人前食べたとのこと。

ああ~食べたい、石田は歯ぎしりしてしまいました。

だって、この飛行機は東京行(逆便)なのです。

なんでこのエッセイを行きの便で読まなかったのだろう。

そう思って気がつきました。

その日は8月1日、今日から新しい雑誌になっていたのでした(ひどいよな~)。

かように実感を語られる商品を知ると、石田とは限らず人は皆同じ体験をしたくなるのではないでしょうか。

そんな商品がある店は幸せです。

だってひとりでに商品が集客してくれるのですから。

今度鹿児島に行ったら私は必ず「しろくま」を食べに行くでしょう。

皆さんのお店にそんな商品ができたらいいですね。

ではまた。