石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その134

「よく働くね~。

洗濯好きなんだね~。

エライエライ。

奥様の見本。」

「好きよ~、洗濯は気持ちいいわ。

ソファのゴリラ見ているよりずっといいわ~。」

「・・・。」

世間ではゴリラガールなる動物園に行ってゴリラを観察することを楽しむ女性が増えているとか(なんでもオッサンみたいで面白いと)、世間のお父様方も休日の過ごし方お気をつけになった方がよろしいかと。

休日の過ごし方、「1日教養、1日休養」というのは経営の神様と言われた松下幸之助さんが、昭和四〇年、他に先駆けて週休二日制を実施したときにスローガンとしたフレーズですが、その想いには社員が人としても立派な存在になってもらいたいという願いがあったのではないかと思うのです。

1日教養(勉強)を実践している従業員がたくさんいる会社はいいのですが、そうはいかないようで、今多くの労働者は休むことが権利であるという意識で休みを訴えます。

生産性が低い業界である飲食業界は週休2日を実施できない会社の方が多いのではないでしょうか。

その大変なことを実施しなければならない状況に今来ているわけです。

良い人材・人手を集めるためには《給料より休み》が仕事を選ぶ条件と言う若者に応えなければならないというわけです。

ただ休みを充実させた会社を作るためには、生産性を上げなくてはお話になりません。

そこで大切なことは・・・。

 

『行動観察が店を変える』

オープン10分前の店内で顧問店社長と打ち合わせをしていた時です。

「まだ、駄目ですかぁ?」

暑い外の日差しに待ちきれず、店内に顔を出したお客様の言葉です。
「5時からなんですけど」と言って言葉に詰まるスタッフ。

すかさず社長が駆け寄り「お客様、どうぞお入りください。

もう少し準備がありますので、お席で少々お待ちいただくことになりますが、どうぞどうぞ」と、こんなことがありました。

そこに我々がいなかったらどうだったでしょう。

石田も客としてこのような場面に出会ったことがあります。

その時は入れてもらえず、他の店に行った覚えがあります。

じっと待つことに耐えられなかったからです。

決め事はあってもそれを臨機応変に対応することが必要なことに気づいたらその決め事をまた創るべきです。

また、ある店の喫煙席のテーブルでこんなことがありました。

「社長、あのスタッフ見てください。

お客様から灰皿と言われて、パントリーまで取りに行きましたが、他でも同じ行動をとっています。

テーブルに灰皿が一つだけだからです。

今はグループだと必ず吸わない人がいるので、吸う人は気を使って自分の近くに灰皿を置いて吸います。

すると他にも吸う人は自分の灰皿が必要になるのです。

パントリーまで取りに行く行動が多いと効率が悪いですね。

中継場所を作るのも効率アップです。」

スタッフに限らず、お客様の行動観察も生産性に関係します。

数年前、惣菜屋の社長とこんな会話がありました。

「先生、オープンして半年、夏を迎えたころウチの揚げ物がほんとによく出て、ようやくウチの味・商品が認められたのかと思っていたら、冬にはまた元通りになってしまったんです。

ウチの味が認められというのは僕の勘違いだったんですね。

売れたのは暑くて揚げ物をしたくないからだったんですね。」

「ですね、夏はから揚げやコロッケ多めに仕込んだほうがいいですね。

お客様の代わりに汗をかくということですね。」

また、弁当屋の社長はこんなお客様の行為からわざと袋のロゴを消したことがあります。

わざわざロゴを内側にして見えないように弁当を買って帰るお客様が多いのに気づいたのですが、なぜなのだろうと考えたところ、《自分で料理しない手抜きの主婦》と見せて歩いているようで嫌な心理があるのではないかと結論したからです。

ロゴを消すことで、お客様の煩わしさはなくなり、それに加え印刷も必要なくなったのですから、コスト削減にもなったわけです。

上げればキリがないほど行動観察からの発見はあるものです。

一度じっくりスタッフ、お客様を観察する時間を持ってみてはいかがでしょう。

ではまた。