石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その142

「公園の桜が咲き始めてるわよ。

お花見散歩でも行きたいわね。」

「今の桜はソメイヨシノが主流だけど、これは江戸の後期に人工的に創られた1本の木からのクローンで皆1体なんだ、だから一斉に咲くんだ。

それまでは山桜が主体で・・・」

「まだ続くの?

終わった?

綺麗ならそれでいいのよ。」

「何も知らない君だから教えてあげてるのに。」

「なあ~んにも知らなくて結構、困らないから。

のんびり花見を楽しめれば充分。」

奥神様は春になるとウキウキしていらっしゃいます。

桜が咲き始め、春の訪れを実感する頃となりました。

すでに桜が開花している地域では、一気に咲き進み、満開の便りも届いているでしょうね。

巷の会社などは新入社員が社会人として一歩を踏み出して将来に胸を膨らませていることでしょう。

P/Aを含め新人が4月とは限らず入店してくるのが我々飲食店業界です。

胸ふくらませて入店する新人に対する対応は・・・。

 

【新人対応はできているかのチェックをしよう】

「デクノボウ!

お前、でかいだけだなあ。

使えねえなあ。」

桜の時期ではありませんでしたが、新人アルバイトとして大箱の店に入店して2日目に私が先輩から言われた言葉です。

顔には出しませんでしたが辛くて落ち込んで、その後指導されることすべてが「叱りの小言」に聞こえ、「ハイ」と答えてその場のご機嫌伺いに徹する自分ができあがっていくのがわかりました。

また、そういう自分が嫌で、その先輩がいると思うと店に行くことも仕事のことを考えることも憂鬱になったものです。

「初めてやることばかりで、きちんと教えもせず、できないと怒鳴り散らす、なんなんだよ。

オレは馬鹿じゃない、馬鹿じゃない」と心の中で叫んだものです。

何もわからずオロオロする新人に《できない》を叱る前に、きちんとできるように指導することが必要なのは言うまでもないことですが、多くの店は研修など行っていません。

人件費の節約のためOJTで教えていくのが現状でしょう。

仕方がないのですが、OJTを行う先輩が問題になるケースがあります。

私も経験した「困った先輩」に出会った新人はその人だけでなく、仕事も店も嫌いになってしまう危険があるのです。

最悪はその気持ちのまま辞めてしまいます。

その繰り返しは募集費の増加にもつながり、いいことはありませんね。

ノーベル賞受賞者の山中伸弥さんは30分の手術の執刀に2時間かかり足手まといの“ジャマナカ”と言われ、名優の島田正吾さんは駆け出しのころ“見るに耐えず”と酷評され、三冠王で名監督の野村克也さんは1年目0安打5三振で解雇通告を受けていますが見事なその後です。

新人の中には素晴らしい人材が隠れているかもしれません。

そのためにも、先輩となって指導するヒトに対する指導が大切なのです。

トレーナー教育です。

ではまた。