石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その149

奥神様とちょいとお食事に、気楽な中華屋さんに行った先日こんな会話になりました。

「おいおい、ちょっとなんじゃこりゃ、野菜炒め頼んだのに、ほとんどもやしだよ。

これじゃ、もやし炒めだよ。」

「あら、ホント、節約してるのね。

わかるわ、だってキャベツなんか400円もするのよ、仕方ないわよ。

文句言わずに食べなさいよ。

あなたも業界の人でしょ。」

「・・・・。」

後でタンメンを頼みましたが、やはりもやしでかさ上げがされていました。

三重県鈴鹿市で市立すべての小学校と幼稚園で12月と1月に1日ずつ給食を中止することを決めたようです。

キャベツやニンジンなどが平年の2倍以上の値段になり、給食費の枠内でやりくりが限界なのだそうです。

台風の上陸の多さと天候不順によるものでしょうが恨めしい限りです。

奥神様ウチのサラダはもやしはやめてね。

【原価の節約が客足を鈍らせては本末転倒!工夫をしよう。】

中華店の社長とのミーティングでこんなやり取りがありました。

「昼の客足が落ちてるんですよ。

ランチの日替わりが魅力がないみたいで、外のランチ看板を見て素通りするお客さんが多い気がするんです。」

「ランチのお客様は奇抜なものや、サプライズで呼ぶのではなく、定番の人気メニューで訴求するのが定石ですが、それが少ないと影響が出ますよ。

どうですか?

例えば、中華店では〈回鍋肉や酢豚〉ですが、やってますか?」

「あ、かなりというかずっとやってないですね。」

「ランチの時間帯、グループ客で動いていたとします。

全員が食べたいものが決まっているわけではありません。

でも1人が食べたいものが看板にあった時、その人に引かれて他の人もその店で食事をするのをOKするのが心理です。」

会話の後、料理長を呼び話したところ、こんな返事がありました。

「去年、先生とのミーティングで原価が上がっていることを指摘されて、私も頑張って下げたのを先生も社長も褒めてくださいましたよね。

ところが、この2カ月、野菜の高騰が止まりません。

安く仕入れようと中国産も試してみたのですが質が悪くて出せません。

今の値段で仕入れた普通の国産も、モノが悪くてロスが出やすくて困ります。

普段のメニュー価格でならまだしもランチ価格で〈回鍋肉や酢豚〉をやったら原価が上がってしまいます。

だから、やらないのです。」

素直な料理長の答えは叱ることではありません。

私はこう答えました。

「原価に気を使っていることは仕事として素晴らしいことです。

でもそれが誰に向いてやっている仕事なのかが大切です。

社長や私を喜ばせるために、叱られないように仕事をするわけではありませんね。

お客様がどう反応しているかが一番大切なことではありませんか?

原価が下がっても、お客様が足を向けなくなるということはお客様に叱られているということです。

一番怖いことをしていることになります。」

「では、どうすれば・・・。」

石田は答えをこのように申し上げました。

「こんな時こそ、原価を宣伝費と考えることです。

他ができない時がチャンスです。

何も毎日やらなくてもいいのです。

2種類を週一で1品ずつ、そうすれば3日に1度は人気商品がランチにあることになります。

原価が低いランチと組み合わせる工夫をすれば、1~2%の上昇で済ませるのも不可能ではありません。

原価の上昇も原因がはっきりわかっていて、まして戦術としてなら問題ありません。

無料券や金券を配るよりずっとやりがいがありますよ。」

お客様の《欲求》《喜び》をないがしろにして数字という成績に走るのは、本末転倒と言わざる負えませんね。

気をつけたいものです。

ではまた。