石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その154

「今日は雨が降る確率60%ですって、傘持って行ったほうがいいわよ」

「へ~、ということは降らない確率40%だな、そっちに掛けよう」

「出た出た、ムダなポジティブシンキング。

確率の高いほうに合わせた方が安心でしょ」

「天気の予想も当たらないことが多いからな。

なんたって予想は反対から読めばウソヨだからな。

ガハハハ」

「ギャンブルじゃあるまいし…」

というようなくだらない身内話はさておき、違った視点も経営やお店の運営に必要ではないですか?

 

【違った視点から経営や運営を考えてみよう】

先日、新しくお店を始めた経営者から、今後の相談ということで依頼があり伺いました。

脱サラで飲食店は初めてなので、自分なりに勉強してベーカリーカフェを開店されたとのこと。

勇気もあるし頭も良い方であることは話していてよくわかりました。

将来的に事業をどうしていくかの青写真もあるようでした。

ただ、直近の心配は売り上げが下降気味であり、これから夏に向かってどうなるか対策はどうしようかということでした。

「夏は、パンの売上が落ちるんですよ、そういう業界なんです。

どのようなパンの売り方、品揃えをするか、頭が痛いです」

私は聞いていて「は?」と思いました。

ご自分のお店がベーカリーカフェであることをすっかり忘れているようです。

看板のあり方・店内レイアウト・レジ周りオペレーション等など、売上改善に関しても突っ込みどころが満載でしたが、最も重要なカフェとしてのメニューが確立されていません。

つまり、珈琲が飲めるパン屋さんであり、ベーカリーカフェになっていないのです。

全てをパン屋さんの視点で考えているのです。

「夏に向かって心配」発言もそこから出たようです。

そもそも、カフェは夏場が一番の稼ぎ時ですし、カフェとしての販促・商品開発を今からしておかなければなりません。

これから売上アップが望める時期をパンという一方向から見ているため、頭が停止状態になっているというわけです。

違った角度から見れば、次々にアイデアが浮かぶものです。

2貫で提供するのが当たり前の鮨を一貫で提供して成功した「板前鮨」や、立ち食いでステーキを提供した「いきなりステーキ」なども今までの視点を変えたアイデアの勝利でしょう。

作業にどっぷりと浸かっていると周りが見えなくなるだけでなく、世間の情報にも後れを取りますし、なにより大事な「お客様目線」で見るということもおろそかになってしまいます。

先程のお店も厨房がお客様席から見えるように作ってありましたが、私が座った席からは乱雑さのみが目につく状態で、居心地悪く感じられました。

従業員の活気や衛生面の良さを見せてお客様に安心を与える意図があったはずですが、本末転倒ですね。

いろいろな角度から冷静に自分の店をもう一度じっくり見てみましょう。

ではまた。