石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その158

「ビール、お代わり。

あ、それと水。

アルコール飲むときは水を同量飲むと身体にいいんだよ。

この前も言ったろ、水!」

「自分でやりなさいよ。

私は作って、ようやく座ったのよ。

この後片づけもするの、水ぐらい自分でやりなさいよ!

まったく…。」

「ボク食べる人、君作る人。

役割分担があるのね。」

「はあ!?」

とまあ奥神様が鬼の顔になってしまうのが日常のウチですが、それはたぶん私に原因があるのでしょう。

ただ、私もたまには片付けや、テーブル拭きを率先してやることがあるのですが、そんな時は「ハイ、お水」「いいわよ、座ってて」など、天使の笑顔が出ることも。

人の心はちょっとしたことで変化するのでしょうね。

ひとのこころの変化が良い方に出ることが飲食店でも・・・。

 

【社長のひたむきさが社員に伝わると変化がある】

「五日一風十日一雨」(ごじついっぷうじゅうじついちう)という諺があります。

五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降るの意から、気候が穏やかで順調なこと農作物によいとされ、世の中が安泰であることの例えとして使われています。

飲食店の営業でも、平日営業は良いペースで、繁忙日は嵐のような稼ぎの日、これが定期的に来ていれば心も覚悟を決められます。

ところが人手不足となると平日さえも嵐になりスタッフ各人が心を失うのです。

愚痴が出る、態度が悪くなる、行動が雑になるなど弊害があらわれてきます。

更に、社長が忙しさの中でイライラが募り、ただでさえ口うるさいのに、ガミガミ怒鳴るようなことでもあれば一層弊害は増してしまうのです。

先日、顧問店の奥様からこんなメールが来ました。

「最近、スタッフの中で協力的な人が出てきました。

慢性的な人手不足に陥ってしばらくたちますが、その間、主人が今までの二倍三倍の仕事を誰よりも率先してやってきたのです。

すると、それまで傍観しているだけの社員が“私がそれやります”とか“明日は早く出てきます”“社長あがってください、あとやりますから”とか言ってくれるようになったのです。

嬉しいです」というような内容でした。

顧問日には社長をたくさん労ってあげたくなりました。

黙々とひたむきに仕事に向き合う社長に社員の方々も心を動かされたのだと思います。

ただ小言を繰り返すことや、ガミガミと怒鳴ることだけが教育ではありませんね。

覚悟を決めて、動じることなく、時には体を張った行動が、「人を動かす」「人を育てる」には長い目でみると効果的なのかもしれません。

くれぐれも社員にこんな風に思われないよう気をつけたいですね。

《気が変わる人に仕えて つくづくと わが世が嫌になりにけり 石川啄木》

ではまた。