石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その165

「たまにはどこかへ行きたいわねえ。」

「はぁ?いつも、あちこち行ってるだろう。

きりがないなぁ、君は。」

「何言ってるの、私だっていろいろ頑張ってるのよ。

あなたみたいに毎日毎日どこかで飲むこともなくね。」

「・・・。あ、はい、ありがとうね。」

「言葉だけじゃねえ。」

てなことを奥神様に言われると、何かしないとなぁと思う石田なのであります。

「言葉だけじゃ…」と考えると、飲食店でもお客様のご来店に対して「ありがとうございます」だけではどうなんだろうと考えるのでありました。

 

【お客様一人一人のことを丁寧に考えることも必要】

3か月に1回程度行く鮨居酒屋で、とても感心することに出会いました。

「あ、もうボトル空いちゃったから1本入れてくれますか?」

一緒に行ったスタッフがそう言って注文しました。

「かしこまりました」と一旦下がって、戻ってきた店長の手には新しいボトルがありましたが、そのボトルには〈札のついた首かけ〉がかかっていて、その札にはなんと私の写真が入っていたのでした。

「え、これ、どうしたの?」と問いかけた私に店長は、

「この前、勉強のために本を読んでいたら、お客様の写真が載っていたのでびっくりして、切り取って作りました。

石田先生だったんですね。」

名前を出してこともなく、話したことがない私にしてみれば、驚くやら照れくさいやら…。

たぶん酔っ払いでアホな様子の私のことは覚えてくれていたのでしょう。

年に3〜4回しか来店しない私を覚えていて、喜ばそうと本の写真を切り取って〈首かけ〉を作った彼の様子を想像するとなんだかとても感動してしまいました。

我々飲食店は、もちろんご来店くださるお客様に感謝の気持ちを持って接しているはずです。

〈いらっしゃいませ・ありがとうございました〉を繰り返している気持ちに偽りはありませんね。

ですが、お客様にとって〈いらっしゃいませ・ありがとうございました〉は、どこでも出会う普通のこと。

非日常を提供するのが命題の飲食店において、何か普通とは違った感動を与えられないかと考えをめぐらす時間を持つことは大切なことですね。

一人一人のお客様を観察し、女性の方には冬はひざ掛けをお勧めする、お年寄りのお案内はゆっくり歩く、子供さんに話す時は膝を折って話す、トイレを尋ねられたら入口まで案内をする、着物でご来店の方にはエプロンを用意して差し上げる、おひとりのお客様には新聞や雑誌をお持ちする等々、恐らく自分のお店の様子とお客様を思い浮かべれば、たくさんの普通と違うサービスが見つかるはずです。

お客様を差別すれば批判になりますが、区別すれば感動を呼ぶのではないでしょうか。

お客様もそれに応えて、お店のファンに本当の味方なってくれるはずです。

いいお客様になるというわけです。

私も先程の鮨居酒屋では「ありがとう!こんなふうに作ってくれるなんて、うれしいです」と店長に感謝し、襟を正して飲んでおります(笑)。

是非いろいろ考えていただきたいと思います。

ではまた。