石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その169

「お友達に誘われて、投資家のパーティーに行ってきたわ。

とても勉強になったわよ。」

「小っちゃいカネしかないウチには無縁だろ。

それよりパーティーの料理はうまかったか?」

「はあ、何言ってるの!?

小さいことからコツコツと地道にやるのよ。」

「まあ、大丈夫だ、俺は大器晩成型だから。

だはははは。」

「はぁ?

あなたいくつ?

あなたのタイキは待機晩成型でしょ。

いやだ、いやだ。

待ちくたびれたわ。」

「待てば海路の日和ありってな、知らないのか君は。」

「知りたくもないわ、待っても来ないのがいまの時代よ!」

「あ・・・、うん。

言えなくもない・・・。」

さてさて、奥神様に言い負けてしまった私ですが皆さんのご商売は・・・。

 

【待っているだけでは生き残れない】

街歩きをしていると、飲食店とその他の商売の違いにふと気づくことがあります。

物販店などでは、お店にふらりとお客様が入り、何も買わずに出ていくなどということは当たり前に見られる光景です。

飲食店に入ってくるお客様で店内を見回し、メニューを見て〈やっぱりやめよう〉と出て行ってしまうお客様はまずいませんね。

一口食べて、「まずいからやめます」「食べたけど満足できなかったのでお金は払えません」という方もほとんどいません。

つまり、飲食店は入ってくればお金になるのです。

まさに〈待てば甘露の日和あり〉(待っていれば甘露が降ってくるような日和もある、焦らずにじっくりと待っていれば、やがて良い機会がめぐってくる)というわけです。

そのためか飲食店経営者は、学習・実行が不足気味なのかもしれません。

果たしてそれで良いのでしょうか。

これだけオーバーストアと言われるぐらい同種のお店が増えてきた時代に「待つ商売」で成り立つことは難しいでしょう。

商品であれ、人であれ、その時代に合った進化を遂げていなければ、新規のお客様は足を運んでくださらないばかりか、リピーターの方にも飽きられる可能性もあります。

「ウチは老舗で、100年前のヒット商品が今も愛され成り立っているんです。

多少売り上げが落ちていますが一過性のことですよ、心配していません」という経営者に出会いました。

『すごい自信ですね。

「信じる者は救われる」ですね。』

私は心の中で(信じる者が救われない事例がたくさんあるんですよ)という言葉を飲み込んで簡単な診断調査をしました。

結果、次の時代には残れないと確信しました。

もう10年も右肩下がりでその対策を何も講じていない事実や承継していく人材もいない状況では当たり前のことです。

それでも待ち続けるという心境はどういうことでしょうか。

簡単です。

経営者として勉強と実行が習慣になっていないからです。

何をしたらよいのか解らないというのが本音ではないでしょうか。

商品も店づくりもサービスも常に改良・改善が行われているのが本当の老舗です。

時代に合わせ工夫もしています。

そのために学習し実行し、習慣化していることでその人間性も磨かれて誰にもお客様にも愛される存在となっているのです。

だからその店は魅力的で強いのです。

地域のブランドとして認められているのです。

そんな努力もなしに〈待てば甘露(海路)の日和あり〉を決め込んでいては、シャッターが上がらなく日が来ることを覚悟しなければいけませんね。 

私も反省反省。

ではまた。