KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.76

冬季オリンピックが熱い闘いを繰り広げているようですが、日本はまだまだ寒い日がつづいていますね。

飲食店はいつも熱く闘っていなくてはいけませんが、皆さんはいかがですか?

毎日がマンネリ化してくるとお客様の大切さを忘れてしまうお店、スタッフが出てくるものです。

「どうぞこちらへ」とご案内はしましたが、テーブルの上は汚れが残っていて整理がされていない、なんてことはないでしょうか?

先日入ったお店で、案内されたテーブルがまさにそうでした。

とても混んでいるなか入店したので、不安はあったのですが、その不安は見事(?)的中。

前の客が帰った後のテーブル椅子は乱雑のまま。そこに、何の躊躇もなく案内され、見るとテーブルの上は汚れが残ったまま。

「スミマセン、テーブルを拭いてくれますか?」と頼むと、お隣からも「こちらも拭いてください」と声が…。

「あ、はい」と返事をして拭いてくれましたが、「すみません」も、「ごめんなさい」もなく、「ご注文は?」ときたもんだ。

いやはや、お忙しいとはいえ、これはいけませんぞ。

持ってきた料理は、お盆にちぐはぐに並べられ、料理の盛り付けもいい加減な感じ。

よくよく店内を眺めてみれば、カウンターの隅は汚れ、その周辺にはドリンク入りの段
ボールが重ねて積み上げられていました。

従業員の出入りがあってチラリと見えたバックヤードは恐ろしく乱雑な様子です。

そうなると厨房はどうなんだろうと、身体を伸び上がらせて見ると、まあ、汚い。

スタッフたちはそんな思いもわからず、楽しそうにおしゃべりしていました。

「もう出ようか?」と言ったくらいですから、その酷さは想像できますよね。

お隣の方々も早々に引き上げてました。

「ありがとうございました」の声がむなしく響いていたと感じたのは、私達だけではないでしょう。

後で聞きましたが、マスコミにボリューム満点と紹介されたようです。

確かにお客様は入っていましたが、早晩崩壊していくでしょう。

お店が流行って、それに流されて、基本であるクレンリネスがなおざりにされるような店が繁盛し続けた例を私は見たことがありません。

お店が闘うのは目の前にやってきたお客様をこなすことだけではありません。

そのお客様が嫌な気分にならないように、お客様がいないときにどれだけの準備に手間をかけられるかも大切な闘いなのです。

地味だけど、そこに時間と手間をかけているのが本当の繁盛店ですね。

皆様も本当の繁盛店のあり方を忘れず、精進をお願いします。