KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.78

早いものでもう4月ですね。

桜前線が梅前線を追い越してしまうぐらい今年の桜は各地で早く満開になっているようです。

皆様の地域ではどうでしょうか。

花粉もすごい量で、今年はヒノキの花粉が観測史上最大の飛散量とのこと。

花粉症をお持ちの方々にはつらい季節かと思います。

顧問店の皆様の中にもたいへんな方がいらっしゃいます。

くれぐれもご自愛ください。

とはいえ、春というのは新しいことを始める、今までのことを見直すにはとてもタイミングのよい季節だと思いますので、行動に移せることを見つける努力をお願いしたいと思います。

先日、やはり「繁盛店には繁盛を作り出す人が存在するもんだな」と思う出来事に出会いました。

たまに行く蕎麦屋、もう30年前からのお気に入りですが、その日も友人2人が待つ店内へ入った瞬間、「あちらでお待ちですよ」と声をかけられました。

店内に入った私のキョロキョロする様子を見てすぐ察してくれたようです。

繁盛店なのでテーブルが取れなかったらしく、大テーブルの一角でしたが向かい合わせで話しやすく席を確保してくれていました。

この店は女将と娘さんがホールサービスの中心で、年配の女性が2名、たまに厨房から応援の男性が出てきます。

以前はこの男性を見ていて使い物にならないなあと感じていたのですが、手本(教育)が良いのでしょう、最近は忙しい時間帯でもそつなくこなしています。

3人で馬鹿話に興じていたら、突然、私の両肩に手がかかりました。

えっ?と思い振り返ると、女将さんが「ホントごめんなさい、先にあやまります。

お願いがあるんですけど。」

何のことやら、私たちがうるさいのか、それとも時間が長いので帰れというのか、少し緊張して次の言葉を待ちました。

「実は、2人のお客様がお待ちなんですけど、このお鞄を下に入れていただいて、右に席を変えていただけるとありがたいのですが・・・。」

なんだ、そんなことか、どうぞどうぞと、イイ人オーラ全快で気持ちよく席をかえました。

端的に用件を言うのではなく、クッション言葉を上手く使ってお客様を誘導するすべを女将は体得しているのでしょう。

こういうスキルを他のスタッフも手本にして、マニュアルにはない心のサービスを身に付けていくわけです。

この店に気持ちのよいスタッフが多いのは要がいるからなのです。

いくら商品が良くても、サービス精神が感じられなければ飲食店とは言えません。

皆様の店には気持ちの良いスタッフが何人いますか?

一人でも多くの良いスタッフをつくためにも手本となるべき自分を磨きましょう。

新たなスタート気分の今、【自分磨き】を念頭に置くのも良いかもしれませんね。

因みに帰り際「今日は本当にありがとうございました。

助かりました」と女将がまた声をかけてくれました。

なんだか良いことをしたみたいで、爽やかな気分で帰宅したのでした。