コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2014年3月11日

Vol.117 ゼラチン

先日、手羽先のスープをつくり、そのままにしておいたら、次の日、煮こごりができていました。

子供たちがそれを見て、「なにこれ~」「なんで~」「ゼリーみたい~」となぜか、大興奮(笑)。

それこそ、なんでこんなことで(笑)。

ということで、今回は、ゼラチンの話。

●ゼラチンと寒天って何が違うの?

ゼラチンは、まさに、煮こごり。

動物の皮や筋などにあるタンパク質を加熱し処理し、乾燥させたもの。

ちなみにこのタンパク質が、よくいう、コラーゲンです。

寒天は、天草を煮溶かしてから凍結させ、更に乾燥させたもの。

違いは、動物性か、植物性かということですかね。

それと、固まる温度。

ゼラチンは20℃くらい、寒天は40~50℃くらい。

つまり、冷蔵庫にいれないと、ゼラチンは固まりませんが、寒天は常温で固まります。

また、ゼラチンは、25℃をすぎると、溶け始めますが、寒天は、70℃をこさないと溶けません。

しかし、一度溶けたゼラチンは、また、冷やすと固まりますが、寒天は、固まりません。

ゼラチンの方が、弾力があり、やわらかく、ぷるんとした食感。

寒天は、どちらかというと、なめらかで、さくっとした食感でしょうか。

ゼラチンは体温で溶けるので、口どけ感が違います。

また、泡を抱き込む力を持っているので、ムースや、マシュマロのようなふわふわとした食感もつくることができます。

どちらがいいという訳ではなく、特徴を理解し、使い分けるといいですね。

●固まらない理由

上でも書いたように、ゼラチンは、何度でも溶かしたり、固めたりすることが可能です。

しかし、一度沸騰させると、凝固力が弱まります。

ので、70~80くらいの液体に溶かすようにすることが大切です。

また、いきなり入れると、溶けきれず、ダマになることがあります。

一度ダマなると、溶けづらくなります。

ですから、ゼラチンは、ふやかしてから、使うようにします。

ふやかす時はもちろん、冷水で。

夏は、常温でも水温が高いのでふやかしている間に溶け出すことがあるので注意です。

粉ゼラチンは、冷水に振り入れるようにします。

粉ゼラチンに水を入れると、表面だけふやけて、ダマなりやすくなります。

アルコール度数の高いもの、酸味の強いもの、ペクチンを多く含むものも凝固力が弱くなります。

そして固まらない1番の理由は、タンパク質分解酵素です。

ゼラチンは、タンパク質ですから、タンパク質分解酵素を含むものは固まりません。

生のキウイやパイナップルなどの南国系のフルーツはよく知られていますが、メロンや生姜などにもタンパク質分解酵素は含まれます。

タンパク質分解酵素は、熱でなくなります。

ので、シロップなどで煮てから、使用するようにします。

ちなみに先ほどでてきた粉ゼラチン。

板ゼラチンと何が違うの?とよく聞かれます。

基本は一緒ですが、精製の仕方が違い、板ゼラチンの方が透明感が強いです。

昔は、板ゼラチンの1枚が厚く、少量が使いづらかったため、粉ゼラチンの方が使いやすいと言われていましたが、現在は、1枚1gの薄い板ゼラチンもありますから、私は、板ゼラチンの方が、使いやすいような気がします。

●とりすぎはよくない?

一時期、ゼラチン=コラーゲンということで、1日に粉ゼラチン1~2袋を飲むということが流行ったときがありましたね。

メーカーなどの説明書には、取りすぎるということはない、健康に支障がきたすことは考えられない、というようなことが書かれています。

しかし、ゼラチンを毎日摂取したことで、ゼラチンアレルギーになったという症例があります。

ゼラチンはもともと、アレルギーにはなりづらい物質であると考えられてきました。

しかし、1994年、ワクチン(おたふく風邪、麻疹)の摂取により、アナフィラキシー症状を示す患者が見つかり、原因物質がワクチンに含まれているゼラチンであることが判明しました。

これは、1989年より、3か月~24か月の非常に幼い乳児期に3種混合のワクチンを接種するようになり、そのワクチン中のゼラチンによって感作された一部の幼児が、その後に受けた、麻疹、おたふく風邪のワクチンのゼラチンによって、アレルギー反応を引き起こしたと考えられています。

1996年以降、3種混合のワクチンよりゼラチンが除かれるようになりましたが、その間にゼラチンを含むワクチンを接種された方は、潜在的にゼラチンアレルギーになる体質があるわけです。

前途ゼラチンアレルギーの症例が、20代に多いのは、そんな理由もあるのかもしれません。

実はここ最近、ゼラチンは、ゼリーを固める要素で使われることが、少なくなってきています。

しかし、その代りで増えたのが、お惣菜での使用。

コンビニなどのお弁当です。

スープや汁物がこぼれず、持ち歩きやすく、また、レンジでチンすれば、ゼラチンはほとんど気になりませんから。

毎日、あえてとらなくても、気づかないうちに摂取していることも多いようです。

何事も、やりすぎは注意。

お気を付けください。

惣菜にゼラチンを使用する理由は、持ち歩きしやすい以外にも、保水力があるから、という理由もあります。

ごはんが冷めてもちもち感が続いたり、冷凍して解凍した惣菜も保水力があるため、水分がでることなくつやつや感があったり。

ぜひ、お試しくださいませ。

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