コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2013年9月9日

Vol.111 ブドウ糖

今、息子の学校で、年間を通じて「ネスレヘルシーキッズプログラム」というのに取り組んでいます。

4年生(息子の学年)にターゲットをおき、年間で骨のカルシウムの量がどう変化するかのデータをとるようです。

プログラムでは、「食べることと体を動かすことの重要性を学び、実践すること」を推進しているらしく、ちょくちょくネスレさんが来ては、栄養プログラムとして、「丈夫な骨をつくるには、いかにカルシウムとタンパク質が必要か」を学んだり、運動プログラムとして、鬼ごっこや特定の運動をしていたりしています。

週に何回か、義務で(!)昼休みに鬼ごっこをしていたりもするそうです(笑)。

定期的に歩数計をつけて生活をさせ、歩くことをチャレンジさせたりもしていて、歩数計を付け忘れていたり、更には歩数計自体をどこかに忘れてきたりして、どうしようもない4年生の男の子の母としては、かなり面倒なのですが、おもしろい取り組みだと、興味深く公開授業などを拝見しています。

先日、そのネスレさんが、親向けに、「朝勝つ栄養学」として講演会をしてくださいました。

今回はその話。

● 朝食を食べない子はテストが悪い?

朝食を食べない子は学力テストや体力テストの成績が悪いということが、文部科学省の調査などでわかっていました。

しかし、今までは、朝食を食べないから成績が悪いのか、成績が悪い生徒が朝食を食べないのか、その因果関係ははっきりしていませんでした。

それが、最近、「脳の唯一のエネルギー源は、ブドウ糖である」ということが分かったそうなのです。

しかも、脳には、ブドウ糖をためておくことはできません。

夕食で摂取したブドウ糖は、1時間ほどで脳にまわり始め、脳を活性化させます。

しかし、2時間をすぎると、ピークはさり、徐々に減り始め、食べてから6時間後には、ほぼブドウ糖はなくなってしまいます。

もちろん、グリコーゲンとして貯蓄していた栄養が、減ってきたブドウ糖を補佐しますが、夕飯から12時間ほどたった朝には、ほとんど残っていません。

そのまま、学校に行き、テストを受けても、脳にはエネルギーがないのです。

これでは、集中力も思考力もなく、テストができるわけがありません。

これは大人にも言えることで、朝食を食べないで、遠距離を運転すると、70㎞を過ぎた時点で、事故率が急にアップしてくるそうです。

そしてもちろん、ビジネスマンの仕事の効率を上げるためにも、朝食が大切なのです。

● 麦芽糖は果糖の仲間?

ちなみにブドウ糖って何ですか?

単糖類の1つです。

単糖類には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。

ブドウ糖と果糖がくっついたものが、砂糖です。

ブドウ糖とガラクトースがくっつくと乳糖になります。

そして、ブドウ糖が2ヶくっつくと、麦芽糖です。

つまり、麦芽糖は、果糖の仲間ではありません。

ブドウ糖がいっぱいくっつくと、でんぷんになります。

脳のエネルギーになるブドウ糖は、口からそのまま入っていきません。

ごはんや、砂糖などを食べることで、それを吸収し、分解し、そして、ブドウ糖のみが、血液によって脳に運ばれます。

では、朝ごはんはブドウ糖だけでいいのでしょうか。

ブドウ糖を一番早く脳に送り込むには、砂糖が最適です。

食べてから、数分で脳にブドウ糖を送ることができます。

そのため、運動などで急激に減ってしまったエネルギーを補給するには、糖分の入ったスポーツドリンクなどが適しています。

しかし、残った果糖は、もちろんエネルギーにもなりますが、それでも残ると、脂肪として蓄積されます。

また、血糖値も急にあがります。

そのため、ゆっくりと、必要な分だけ脳にエネルギーを送るには、タンパク質やビタミンも含まれた、バランスのよい朝食が必要ということになるのです。

先生の話を聞きながら、じゃあ朝はおにぎりだけでもいいのか?とか、麦芽糖?朝からビール飲んだらどうなんだ?などと考えてながら、聞いていた私ですが、やはり、それじゃあ、ダメなんですよね(笑)。

あ、ビールは、その前に論外ですが(笑)。

人間には、体内時計というものがあります。

この時計を合わせるためには、朝の光を浴びることが必要だと言われてきました。

しかし、最近では、朝食を食べることも、この体内時計に関わってくることがわかってきたそうです。

朝食を1日ぬくと、その体内時計を戻すに、4日かかるそうです。

3日じゃもどらないんです。

3日坊主という言葉はこのへんからきているのかもしれませんね。

参考:ネスレ日本株式会社 農学博士 福島洋一先生のお話より

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