コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2011年1月11日

Vol.79 米粉vol.2

3年ほど前、小麦粉の値上げの話題が毎日のようにTVで放送され、それにともない、小麦粉の代替品として、米粉が注目されるようになりました。

そのときに、1度、米粉をコラムでとりあげさせて頂いたのですが、それから3年、米粉は進化をとげ、小麦の代替品とはいえない、米粉ならではの製品もかなり増えました。

そこで、今回は、米粉第2弾。

● まずは復習、米粉の種類から。

上新粉:うるち米を洗って乾燥させた後、製粉したもの。

主に草もちやだんごといった和菓子の材料になります。

白玉粉:もち米を水につけ、水引きしてさらし、脱水、乾燥したもの。

寒ざらし粉ということもあります。

もち粉:もち米を洗い、乾燥させてからひいたもの。

道明寺粉:もち米を蒸して乾燥させたもの。

粒のものから、細かくひいたものまで様々な種類があります。

桜餅の和菓子に使用したり、揚げ物の衣に使用したりします。

寒梅粉:もち米を蒸して餅を作り、焼いてから製粉したもの。

つまり、米粉はまず、うるち米か、もち米から作るかに大別され、また、それを生のまま使用する(ベータ型)か、熱処理してから使用する(アルファ型)に分けられます。

● 製パン用、製菓用の米粉って?

ここ近年で急に進化し、種類も増えたのが、製パン用や製菓用の米粉です。

分類でいえば、上新粉と同じになることが多いと思いますが、各メーカーの製造加工が企業秘密なこともあり、なんともいえません。

先駆的商品は、「モンサンクレール」のパティシエ辻口博啓氏が考案した「リ・ファリーヌ(フランス語で米の粉という意)」でしょうか。

小麦粉の約1/2の粒子で、粉をふるいにかける必要がありません。

水分量の調整だけで薄力粉の100%の代替として使用できます。

従来の米粉(上新粉など)の製品のようなべたつきがなく、小麦のケーキよりきめ細かくなめらかに仕上がります。

基本、米粉にはグルテンが含まれないため、米粉だけでは強力粉の代わりにはなりません。

強力粉の30%ほどのレシピの分量を米粉に変えるか、小麦グルテンを添加しパンを焼成します。

また、小麦粉よりも米粉のほうが、低カロリーで、油を吸収しにくいため、ヘルシーなパンができあがるとされています。

しかし、メーカーによってさまざまな米粉が開発され、それぞれに特徴的な製造加工工程を持っているため、一概には言えず、グルテンを添加せずとも、パンが焼けたり、小麦粉よりも高カロリーであったりしますので、使う用途に合わせて、米粉を選ぶことをおすすめします。

また、アレルギーを起こしづらいとされているゆきひかり米を使用した米粉などの製品などもあり、小麦代替品として、アレルギー用製品としての注目度も高いですが、製造する場所でのコンタミも考えられるため、アレルギー除去食で作る場合は、十分に検討のうえ、ご使用ください。

昨年、米粉からではなく、家にある普通のお米からパンが焼けるベーカリーが発売されました。

これまで米粉から作るベーカリーはあったものの、普通のスーパーで製パン用の米粉はなかなか手に入らないのが現状でしたので、このベーカリーの発売は、本当に画期的なものです。

やはり、みんな思うことは同じようで、現在は製造が追いつかず、販売を見合わせているそうです。

米製品は小麦粉の代替としてだけではなく、新しい可能性として広がっているんですね。

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