コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2010年11月8日

Vol.77 賞味期限

先日、消費者庁が、「賞味期限」の表示方法を見直すことを決めた、というニュースを見ました。

なんでも、年間1900万トンにもなる食品廃棄物のうち、まだ食べられる食品が年間1000万トンにものぼるそうで。

キーワードは「もったいない」。食べられる食品の大量廃棄をなくそうということらしいです。

ということで、今回は、賞味期限のお話。

● 賞味期限と消費期限はどう違うの?

よく耳にする言葉です。

簡単に言えば、賞味期限は「おいしく食べることができる期限」、消費期限は「安全に食べられる期限」です。

つまり、賞味期限は、この期限が過ぎても、すぐに食べられなくなるということではありません。

比較的、日持ちする食品に表示されます。

逆に、消費期限は、この期限を過ぎたら、食べない方がいいです。

日持ちのしない食品に表示されます。

お弁当やサラダ、生めんなどです。

よく間違いやすいのが、牛乳と卵。

この2つは賞味期限です。

すぐにだめになってしまいそうですけれどね。

消費期限じゃあないんです。

● 賞味期限の豆々歴史。

1948年、初めて牛乳類にのみ製造年月日の表示が義務化されます。

1970年になり、牛乳以外でも、指定された食品に製造年月日の表示が義務化されます。

この頃は、まだ、自分で匂いをかいで、状態を見て食べられるかどうかを決めていた時代です。

しかし、この法令により、製造年月日をみて購入するようになった消費者は、次第に日付の古いものは買わなくなっていきます。

そのためAM0:00に製造するなど、メーカーの日付に対する苦悩の日々が始まります。

そして加工食品が増えるに従い、消費者は、その食品がいつまで食べられるのかを知りたがるようになり、また、メーカー側は、おいしく食べてほしいと願うようになり、賞味期限を自主的に表示するようになります。

やっと1995年、消費期限、賞味期限の表示義務化となります。

それまでは、製造年月日が表示義務、賞味期限が自主的措置だったものが、反対に、製造年月日は自主的措置となります。

こうみていると、賞味期限が義務化されて、まだ、15年ほどしかたっていないんですね。

● 3分の1ルールって何?

スーパーなどでは、独自で販売期限をもうけ、製造から賞味期限までの期間の3分の2を過ぎた時点で店頭から撤去、メーカーに返品または廃棄する「3分の1ルール」というものが存在するそうです。

賞味期限の短いものは、もちろん売れない。

では、期限の短くなった商品を安売りすると、今度は定価の商品が売れなくなる、という悪循環が発生するため、こうするしかない、という意見だそうです。

確かに、私も棚の後ろの方から賞味期限が長いものを取って購入したりしているわけですから、こんな消費者にも、問題があるんですよね。

見直し案として、消費者庁は、賞味期限の横に、「期限をすぎても食べられます」という文を明記するなど検討中らしいが、はたして、これで、消費者の意識が改革されるのか。

難しいところです。

日本の食料自給率は40%ほど。

6割もの食材を外国から買っているのに、この大量廃棄。

ここまで、食べられる食品を廃棄している国は日本くらいだそうです。

個人的に、私自身はほとんど賞味期限を気にせず、納豆や牛乳は匂いをかいで、食べて、飲んでみて、大丈夫であれば、普通に食していますが(それで、おなかをこわしたことは、1度もない 笑)、私の周りには、1日でも賞味期限が過ぎたら、確かめもせずに捨てるという人が、少なくありません。

いつから、日本人はこんなに神経質になったんでしょうか。

食の安全を疑うようになったからですかね。

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