コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2010年7月12日

Vol.73 カロリー計算

メニューのレシピを提案したりしていると、カロリー計算の仕方を聞かれることが多々あります。

(あ、もちろん、カロリー計算自体を依頼されることも多いのですが)。

その時によく質問されるのが、揚げ物の計算の仕方。

フライパンで油をひいて調理する場合、大量の油で揚げ焼きするなど、調理後のフライパンに油が残る場合を除き、ひいた油のカロリーは全て摂取カロリーとして計算されます。

しかし、揚げ物の場合は、そういう訳にはいきません。

今回は、そんな疑問にお答えします。

● まずは基本の栄養計算の仕方

原価の計算とほぼ考え方は一緒です。

食品1品ずつのカロリーを求め、全てを合計すればいいのです。

1品あたりのカロリーの計算は、

100gあたりのエネルギー(kcal)×賞味重量(g)÷100

で計算できます。

原価計算の場合は仕入れ値が必要となってきますが、カロリー計算の場合は、食品毎のカロリーが調べられる「食品成分表」というものが必要となってきます。

食品成分表はすべて、「可食部100gあたり」の数値です。

ですから、廃棄分を除いた可食部、賞味重量で計算をします。

もちろん、大量調理の場合、料理全体のカロリーを算出してから、人数分で割ってもかまいません。

栄養計算のソフトがいろいろでていますが、ネット上でもカロリー計算のさまざまなサイトがあるので、簡易計算なら、これで十分です。

昔は、計算機片手にパチパチやっていましたが、ホント楽になったものです・・・。

● 揚げ物はどうやって計算するの?

揚げ物の場合、調理前よりも増えた油の分量を計算します。

これは、揚げる前と揚げた後の分量の差ではありません。

水分が油と置換されるからです。

一般に、この吸収した油の分量は、油の「吸油率」というもので計算します。

例えば、鶏もも肉のから揚げの場合、吸油率は1%なので、

鶏もも肉の重量(g)×吸油率1%÷100=吸油量(g)

となります。

この時、片栗粉などの粉や衣の重量は含みません。

素材の水分が多いほど吸油量は多く、脂質量が多いほど、吸油量は少なくなります。

参考:
フライドポテト 4%
なす素揚げ 14%
鶏のからあげ 1%
豆腐のから揚げ 6%
えびの天ぷら 12%
なすの天ぷら 18%
ロースカツ 14%
かきフライ 33% (食品成分表 資料編より抜粋)

もちろん、すべての揚げ物の素材、衣の吸油率が表示されている訳ではありませんから、近いものの数値で計算することが一般的です。

ところで、煮汁や漬け汁はどう計算したらよいでしょうか。

料理に使用した調味料は、基本的にすべてレシピの分量が全量口に入ったとして計算します。

しかし、大量な煮汁で煮たり、たっぷりとした漬け汁で漬け込んだりする場合は、口に入る量を計算します。

例えば煮魚などは残る煮汁を想定し、1/3の量だけを計算したりする訳です。

食材は、季節やその年の気候、品種によって、もちろん栄養が変わってきます。

ですから、食品成分表は、平均の数値を載せていることになっています。

加工食品では、表示するエネルギー量は、上下20%までの誤差は認めているそうです。

つまり、500kcalと表示されていても、400kcalかもしれないし、もしかしたら600kcalかもしれない・・・。

意外といい加減です(笑)。

次回は、カロリーをどうしたら抑えられるか、についてお話しましょう。

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