コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2009年9月7日

Vol.63 プッチーナ

ちょっと前になりますが、初めて“プッチーナ”を食べました。

プッチーナってご存知ですか?

前菜のお皿の上に、のっていた葉っぱ。始めはハーブの一種かなと思って食べたら、びっくり。

食べたことのない、プチプチとした食感。

なんだこりゃ!と思っていたら、その後、気をつけて見ていると、百貨店の食品売り場で、売られていることを発見し・・・。

更には、TVでよく取り上げられていることにも、気付き・・・。

実は、巷では、すでに結構話題の野菜のようです。

ということで、今回はプッチーナの話。

● プッチーナってなに?

プッチーナは、「アイスプラント」と呼ばれる南アフリカ原産の植物の一種。

ナトリウムや、カリウム、カロテンなどミネラルが豊富で、キャベツや白菜、レタスなど
の特徴を凝縮した栄養たっぷりな上、中性脂肪で注目のミオイシトール、血糖値に期待のピニトールという成分が含まれていることがわかり、メタボ予防に!とマスコミで紹介され、人気急上昇の野菜なのです。

しかも、アイスプラントは、植物に対する環境ストレスに強く、害虫や病気に強いので、無農薬で栽培されているとか。

まさに今の時代にあった、新野菜ですね。

● なんでプチプチしてるの?

プッチーナの特徴は、葉や茎の表面に見られるキラキラと輝く粒々。

噛むとプチプチして、更に、ほんのり塩味がします。

この食感と、なんともいえない塩味がやめられず、何もかけずに、ついそのまま、シャリシャリ、プチプチとつまんでしまいます。

これは、表皮に塩を隔離するための細胞、ブラッターがあるためだそうです。

つまり、この粒々は、水滴ではなくミネラルなので、塩味がするんですね。

これが、アイスプラントの名前の由来だそうで、調べてみたら、どうも、サボテンの仲間みたいです。

野菜自身が持つ本来の塩味や、新食感を楽しむには、もちろんサラダ(私としては、そのまま)がおすすめですが、火を入れても塩味とシャキシャキ感は残りますので、天ぷらとかもおすすめです。

ちなみに、フランス語で小さくかわいいという意味の「プチ」と「菜」でプッチーナとネーミングされたそうです。

● バラフは同じ野菜?

先日、上記とは他の百貨店でも、プッチーナを見つけました。

いや、違う!

バラフって売ってる!

そうなんです。

その商品名はバラフ。

でもどう見ても、この葉のプチプチはプッチーナ。

ん?

じゃあバラフって何?プッチーナと同じ?

よく関東と関西で野菜の呼び名が違ったりするのがあるけど、それと一緒?

と、思いながらJAに問い合わせてみると、産地や栽培方法、種の違いにより、商標登録が違うんだそうです。

プッチーナは、アイスプラントの中から、柔らかさと食感に優れた種子を選び出し、フランスから種を輸入して育てたもので、バラフは、佐賀大学農業部での研究開発により、アイスプラントを野菜化した、佐賀大学ブランドだとか。

よくよく比べて見ると、葉の大きさや巻き方、厚さに違いあり。

アイスプラントには、この他にも、ソルトリーフ、クリスタルリーフ、ソルティーナと呼ばれているものもあり、また、フランスにも、フィコイド・グラシアルと呼ばれるアイスプラントがあるそうです。

ちなみに、バラフは、アフリカのスワヒリ語で「水晶」や「氷」を意味します。

名付けがどれもいいですね。

初めてアイスプラントを食べたときに、その葉を知らなかった私は、そこのホテルのウエイターさんに、「この葉っぱはなんていうんですか?」と聞いたところ、「あ、えっと、、、アクアリーフです」と教えて頂きました。

アクアリーフ?

なんか聞いたことがある名前だな、と思いながら、帰ってネットで調べてみると・・・。

化粧品じゃない・・・。

その後、たまたま、プッチーナを売っているのを見つけたので、それだと思い込んでいましたが、結局、初めて食べたのは、プッチーナ?バラフ?それとも・・・?

ウエイターさん、何と間違えたの?

頼むよ(笑)。

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