コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2009年7月6日

Vol.61 ノンアルコールビール

今年4月に、キリンビールから、世界初、アルコール0.00%のノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリンフリー」が発売されました。

ノンアルコールビールなんて、10年以上前に一度飲んで以来、口にしていなかったのですが、この度久々に飲んでみることにしました。

以前飲んだときに“まずい”と感じていた私は、ちょっと抵抗があったのですが・・・。

飲んでみると、発泡酒や第3のビールに慣れてきたせいもあるのか、意外においしい・・・。

以前は、これならわざわざ飲まないほうがいいやと思っていた、ノンアルコールビールが、これなら飲めないときはこれで十分だなと(*あくまでも私個人の感想です)。

ということで、今回は、ノンアルコールビール飲料について。

● ノンアルコール飲料とは。

ノンアルコール飲料とは、アルコール分を極端に少なくしたもの、あるいは0%のもののことであり、ノンアルコールビールは、アルコール分1%未満のものと決まっています。

ビール自体、アルコール飲料であるため、ノンアルコールビールはビールテイスト飲料というのが、現在では正式名称。

分類上は、清涼飲料水になります。

酒税法上の酒類にはあたらないため、未成年への販売及び、購入・飲料も可能であり、酒類販売免許をもっていない店でも販売できます。

ちなみに、第3のビールも、実際にはビールではないため、ビールテイスト飲料と称されますが、こちらはビール同様5%前後のアルコールが含まれています。

ややこしいですね。

だからよく、「ノンアルコールビール・ビールテイスト飲料」と長々と記されています。

● のどが乾くと、ビールが飲みたくなる訳。

すごくのどが渇いているとき、甘いジュースを飲んでも、飲んでいるときはおいしいのですが、飲み終わってもまだのどが渇いていることってないですか?

水分をとると、のどの奥にある神経が刺激され、脳に信号が送られるそうです。

そのため、渇きが癒されるのですが、苦味は、甘味や塩味、酸味よりも1番この神経に強い刺激をあたえるのだとか。

だから、苦味のあるビールや麦茶が、のどが渇いているときは飲みたくなるのですね。

でも、のどの渇きが潤っても、ビヤホールなどでビールを1リットルも2リットルも飲める人っていますよね。

普通の水だと1リットルも飲めないのに。

ビールに限らず、アルコールは、他の飲料と比べ、吸収のスピードが違います。

水は、小腸から少しずつ吸収されていくのに対し、アルコールは、口からも喉からも胃の粘膜からも吸収されます。

更に炭酸ガスと糖分がその働きを助けます。

おまけに、アルコールは利尿作用があるため、トイレが近くなります。

ビールは、苦味、アルコール、炭酸、糖類がそろって、“美味しさ”の重要なポイントになり、がぶ飲みできるという訳なんですね。

● 0.00%と0.1%未満の違い。

ところで、アサヒビールからも、アルコール分0.1%未満のビールテイスト飲料「アサヒポイントワン」が発売されています。

キリンフリーよりもフルーティな甘さがなく、すっきりとしたスーパードライに近い味わいで、これもまた、ノンアルコールビールとしてはいけます(何度もいいますが、あくまでも、私個人の感想です)。

しかし、キリンフリーとアサヒポイントワンには、大きな違いがあるのです。

それは、アルコール分がアサヒポイントワンには、0.1%未満という微量でありながらも含まれているということ。

0.1%未満ですから、10本飲んでも普通の缶ビール1/4本に達しない程度のアルコール摂取量です。

それでも、1本で酔う人はいないとは言いきれません。

それに比べ、キリンフリーは、完全なノンアルコールであり、運転のシミュレーターの実験でも飲料後の運転に支障がないことが実証されています。

つまり、片方は、お車の方にはぜひ、と薦められますが、片方は、「アルコール分を含んでいますので、お車などの運転や未成年の方の飲用はご注意ください」といわなくてはいけない。

これは、大きいですね。

飲食店などに置く場合の、ポイントになってきそうです。

ちなみに、キリンフリーは未成年者の飲用も法律的には可能ですが、ビールが飲める20歳以上の方に向けた商品として開発しているとのことでした。

先日タクシーに乗ったら、タクシーの運転手さんが、警察の前で、わざわざキリンフリーを飲むのが、最近の楽しみなんだと話していました。

おまわりさんも大変です(笑)。

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