コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2009年6月8日

Vol.60 溶けない理由

巷では、溶けないソフトクリームが話題だそうです。

そう聞いて、ついグリコのカプリコを想像してしまった私ですが、調べてみたら、どうもそうではないらしい・・・。

● 溶けないソフトクリームって?

「溶けないソフトクリーム」(350円)は、日本海藻食品研究所が開発した「おからペースト」を使用した商品を販売するアンテナショップで発売された商品です。

おからペーストと米粉を配合することで、常温で1時間放置しても溶けず、できたての姿をキープするのだそうで、時間を追うごとに食感が変化するようです。

<参考 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090521-00000000-hsk_kz-l17 >

「子供に食べさせやすい」と、人気がでているようですが、確かに海の家などでは大活躍しそうですよね。

これで、冷たさもキープできるのであれば、更にすごいのですが(笑)。

それにしても、一度は食べてみたいものです。

● 中国にも溶けないアイスがあった!?

溶けないソフトクリームを食べてみたいと思っていたら、思い出しました。

10年くらい前に、中国で、溶けないアイスを食べたことを。

アイスというよりもふわっとしたムースに近い食感で、非常に甘かった記憶があります。

時間がたっても、溶けず、状態が変化しなかったことにびっくりしました。

ところで、話は変わりますが、「乳製品を使っていない豆乳入りホイップクリーム(スジャータ)」というものがあります。

最近では、近所のスーパーでも手に入るようになりました。

これをホイップして、バナナなどを加えて冷凍庫で固めると、簡単な「アイスクリームもどき」 ができます。

私事が近頃なんだか多くて恐縮ですが、市販のアイスクリームが食べられないアレルギっ子たち用に、うちではこのアイスクリームもどきが大活躍しています。

実は、これが、中国アイスの食感に似ています。

がんばれば、溶けないソフトも作れるか!?(笑)

● 溶けないゼリーの正体は?

もうひとつ、溶けないといえば、小学生の頃、オレンジの皮を型にして、中身のオレンジをしぼってゼリーをつくるのがマイブームの時期がありました。

しかし、贈り物としてどこかに持っていこうとすると、溶けてしまい、残念なことになったことも何度かありました。

そんなとき、寒天でつくると溶けない、ということを知り、今度は、フルーツ寒天をつくるのがブームになったのを覚えています。

食感がかなり違うので、今思えば、パールアガーなどを使った方が近いものができると思うのですが、当時は、そんなものは手に入りづらく、というよりもそんな存在自体を知らず。

これは、お弁当などにも大活躍で、自分の中では“溶けないゼリー”として、大満足なフルーツ寒天でした。

*寒天の性質は、コラムの寒天の回を参照

「おからペースト」は、もともと豆腐を製造する際に大量に廃棄処分されるおからを特殊製法でペースト化したもので、これを使用したスィーツやパンなどの開発に力を注いでいるとか。

そういえば、田中義剛氏がヒットさせた豚丼に使用されているホエー豚は、ナチュラルチーズを製造する過程で出るホエー(乳清)を飲ませて豚を育てています。

これぞ、「エコヒット」ですね。

ちなみに、よくポスターなどの撮影のアイスには、マッシュポテトが使用されています。

昔、アイスの撮影をお手伝いしたことがありますが、みるみるうちにマッシュポテトが絵の具できれいなチョコミントの色に変わり、コーンにのせたら、まさにアイスクリームができあがり、感動した記憶があります。

これも、まさしく溶けないアイス。

食べられませんけどね~。

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