2008年10月8日
Vol.52 卵(1)
今年は、夏ごろから“メレンゲ鍋”が話題です。
お店によって様々ですが、他の具と一緒に鍋にこんもりとメレンゲが盛られてきます。
または、鍋とは別盛りで、好みで鍋に入れたり、タレに入れてつけて食べたりするところもあるようです。
ところで、メレンゲって何からできているか、知っていますか?
そう、卵白です。
白くてふわふわしていて、鍋に入れたりしたら溶けそうですよね。
でも、メレンゲは、ホイップクリームとは違い、鍋に入れても溶けません。
焼いたら、焼き色がついて焼きメレンゲになります。
さて、なぜでしょう。
ということで、今回は卵(鶏卵)の特性について。
●特質1:熱凝固性
卵は熱により凝固する性質を持ちます。
卵白は60℃で固まり始め、70~80℃で完全に固まります。
卵黄は、65~70℃でほぼ完全に固まります。
この熱凝固の温度差を利用した料理が温度卵です。
“温泉につけておいたらできた”ということから、温泉卵とも呼ばれています。
70℃のお湯に、卵をつけておけば、黄身だけが固まり、白身は半熟状にどろっとした温度卵ができるのですが、なかなかそれが難しい。
ポイントは、70℃を保つということ。
ちなみに、ゆで卵は、沸騰しているお湯で5分茹でると、半熟卵(これは、卵白は固まり、卵黄が半熟ということ)、12分茹でると固ゆでになります。
これも、簡単そうで、美しい半熟卵を作るのは、なかなか。
卵料理は、この特性をいかに上手に利用するかで左右されるとも言えますね。
●特質2:気泡性
かき立てると空気を含んで泡立ちます。
卵白にこの性質があり、逆に、卵黄を加えて混ぜると泡立ちにくくなります。
この特質を利用したのが、“メレンゲ”です。
これにより、シフォンケーキやスポンジケーキなどがふんわりと仕上がります。
天ぷらが、サクッと軽く揚がるのも、この特質のおかげです。
もちろん、メレンゲができるのは、この特質の利用ですが、それを鍋に入れても溶けず、焼いて焼き色をつけるなんて技をやるのは、上記の熱凝固性のおかげです。
●特質3:乳化性
乳化とは、そのままでは分離してしまう水と油を、安定した混合状態にすることをいい、その作用を持っている物質を乳化剤といいます。
卵黄には、その働きのあるレシチンが含まれます。
この代表料理はマヨネーズ。
ちなみに、古い卵黄の乳化性は新鮮なものに比べて劣ります。
ですから、古い卵を使用してマヨネーズを作ろうとすると、本来では必要のない乳化剤などの添加物が必要になってきます。
最近、生みたて○日以内の卵を使用、なんて売り文句があるのは、新鮮というイメージと、これを意識してのことですね。
また、自分の手でホイッパーを使用して作ったマヨネーズと、買ってきたマヨネーズ、おしいさは別として、どうしても食感が違いませんか?
これは、いかに高速回転で作り卵黄の粒を小さくするかということ。
これにより、卵黄がきめ細かくなり、食感がなめらかになるのです。
●特質その他
他には、のりのような役割の結着性や、水分を含んだまま熱凝固するという保水性などの特質があります。
この特質をいかしたものが、かまぼこやソーセージなどです。
ところで、“卵”と“玉子”、みなさんは、どのように使い分けていますか?
一般に、卵は生物としての「たまご」、玉子は料理の名前としても「たまご」を表すようです。
つまりは、“卵をつかって玉子焼きを作る”ということでしょうか。
まぁ、明確な基準などは、ないようですから、どっちをつかっても間違いではないのですが。
ちょっと、卵は、奥が深く面白い食材なので、もう1回、次回も卵のお話をいたしましょう。
次回は、もっといろんな面からみた卵について。
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