コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2007年9月10日

その39 お題「渋谷でまずい店に出合ったぁ~!新南口に気をつけろ!」

今回は石田が出合った皆さんにも考えてもらえたらという事例がありましたのでご紹介しましょう。最後に一応石田の解説がありますので皆さんのスタッフミーティングの材料にしてもよろしいのではないでしょうか。石田以上の解説がありましたら逆に教えてくださいね。よろしくです。

何が問題なのでしょう。

対処のポイントは?

お題「渋谷でまずい店に出合ったぁ~!新南口に気をつけろ!」

渋谷に新南口ができてオフィスに行くのが便利になって暫く経ちますが周辺のお店にも入ることが多いこの頃です。

その中でも駅直結のホテルにある中華レストランは便利なこともあって何度か利用してきましたが「?」と思っていたのはランチは美味しいのに夜はイマイチなのです。イマイチとは言えすぐ電車に乗れる便利さはやはり利用の対象になるのですね。ところがついに地雷を踏んでしまいました。

先日打合せで女性の方と駅で待ち合わせをしたのですが、《そうだ、あそこなら夜はお客さんが少なくてゆっくり話ができるし帰るにも便利だ》とその店を選んだのでした。

ビールを頼んで単品を4~5品注文しました。最初の 2品が来て口にして出た言葉は「ショッパー。」塩味が強すぎるのです。一気にビールを飲み干してしまいました。

女性は私に気を使っての言葉でしょう。

「ちょっと私には合わない感じです。」と言いながら箸は進みません。

石田は「すいません。セレクトに失敗しました。でもたまたまだと思いますから他は大丈夫でしょう。」

そういいながらショウコウ酒を注文しました。ところが大丈夫ではなかったのです。次に運ばれてきたイカとブロッコリーの炒め物は高血圧のジジイなら一発であの世行きじゃないかという塩気です。

《ここの調理人は朝から 3リットルぐらい汗かいたんか!それとも糖尿病悪化で味わからんぐらいになっとるんか!》

さすがに石田もスタッフを呼んで精一杯の笑顔で、

「ごめんなさい。ちょっと塩気が強すぎて食べられないのでなんとかしてくれませんか。」

とお願いしたのでした。

スタッフの方は

「申し訳ありません。ただいま直ぐに作り直してお持ちいたします。」

と言ってくれて塩料理を持っていきました。入れ替わるように上海焼きそばとチャーハンが来たのですがなんだか食べるのが怖い。二人で商品を見つめていると、気になったのでしょうスタッフの方がやって来て

「そちらの料理はいかがでしょう。大丈夫ですか?」

というので石田としては食べないわけには行かないのでその方の目の前で先ずチャーハンに手をつけました。

「????・・・味が・な・い。」

女性スタッフの方も石田を見つめながら

「味が・・な・い・ですか。」

まるでオウム状態です。見つめあってもしょうがないのでつづけて箸を焼きそばに移しました。

「ショッペー!」

石田は東京人ですが思わず栃木弁で叫んでしまいました。

「あのさあ、もしかして調理場の人私のこと知っててなんか恨みがあるんじゃない。」

「そのようなことは、な・いとおもいますが・・。」

そりゃそうだ。キッパリないと言ってよ。

冗談にもならない冗談を言ってるところに先ほどの作り直しが運ばれてきました。スタッフの方が二人になってさしずめ品評会の体をなしてきました。石田の次の言葉を固唾を飲んで待っています。

「ショッペーッペー。」

再び栃木、茨城地方の登場です。

作り直しも具材を少量足してあおり直しただけの誠意の無いやり方なので元の具は火が入りすぎて焦げていますし食感もまずくなっています。

「参りました。もういいです。お会計していただけますか。」

ほとんど食べていない料理と飲み物を恨めしげに見ながらキャッシャーに向かった石田でした。

「申し訳ありませんでした。実は今日は料理長がお休みで下のものが作っておりまして。」

そう言われてもと専門家として言いたくなったのですがグッと抑えて 6800円程を払って店を出たのでした。調理場の人間も責任者も顔を見せることはありませんでした。次の店では打合せと言うよりこの店の話で8割が費やされてしまいました。あ~あ。

と言う具合でしたがどうでしょう店にいる社長さんは他山の石で済むでしょうがスタッフに任せている社長さんには心凍る方もいるのではないでしょうか。

まず、昼と夜がこれだけ味の違いを見せるということはストーブ前(火)の担当者の技術の差が大きいということですから、1)料理長の教育がダメだというのは当り前で、その他に重要な問題は2)料理長の力量のみにまかせていて料理長がスタッフを教育するためのトレーニングシステム・マニュアルがないということに問題があるのではないでしょうか。

また3)料理人に対してサービス教育をしていないのではないでしょうか。クレームが商品であった場合その責任者がお客様に対峙するのは当然の時代です。包丁持ってふんぞり返る場合ではないのです。

4)商品の標準化ができていないのではないでしょうか。微妙な味を数値で全てレシピ化するのは不可能ですがおおまかな 70%をマニュアル化するのは現在多くの企業で行われていることです。

同じ事がホールサービスでも言えます。5)クレームに対する動きが客主導で店側の前向きな対処が見えない。6) A/Pに対処がまかされていて責任者の顔が見えない。7)つまり危機管理が想定されていない。サービスマニュアル(クレーム対応)がないか、あっても教育されていない。 

最後の最後までぎこちない対処であったことで怒りのお客様を食べてもいない料理の金まで払わせて追い出した事になったのですから8)普段からお客様喜ばせ業であることを会社が教育していない。ということです。

たとえマニュアルがなくとも、困って頭を抱えている人間(お客様)がいたら何とかしてあげようと言う親切な気持ちを表現することが我々のサービス業だということを忘れずにいたいものです。

ではまた。

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