コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2024年2月12日

Vol.148 人手不足と飲食店の工夫

こんにちは。

時間は平等に過ぎるもので、もう2月を迎えました。

寒さも峠を越えたようで、早咲きの河津桜は5分咲きだと顧問先の社長から便りがありました。

そんな中、新型コロナに感染したという社長も2人もいて、びっくりしております。

以前ほどの怖さが無くなったとはいえ、感染するとけっこうキツイようです。皆様もお気をつけください。

 

さて、最近の経営環境ですが、相変わらず食材の高騰は止まる気配はないし、賃金も人手不足もあいまって高騰していますね。

募集の貼り紙に時給1500円、2000円という文字もチラホラ見える状況を見て「大変だなあ」と思わずつぶやいてしまいます。

かといって、商品の価格を上げれば客足が心配ですから、簡単に値上げはできませんね。

どう対処すればいいか悩ましい限りですから、多少のしわ寄せがあっても「これで行くんだ」という店も現れているようです。

今回はそんな店のお話です。

「さてさて、今日の夜メシは何にするかな」

訳あって独り者の私は仕事でスタッフと一緒でないときは一人飯をしています。

訳は聞かないでね(笑)

ぶらぶらしながら探していると“お得な定食セット・ハイボール付1000円”というポスターを見つけました。

ちょっと飲みたい私にぴったりです。

早速入店しました。

「いらっしゃい!」の言葉はありましたが、案内はありません。

勝手に席を見つけて座りましたが、2人のおばちゃんはしばらく無視です。

店内は混んでいて忙しそうで、どう見ても人手が足りていません。

隣のテーブルに料理が運ばれてきたついでに「何にします?」と聞かれて、「えーと・・・」と迷っている間にいなくなってしまいました。

(ありゃりゃ、こりゃ今度は即答しなきゃなあ)と思いながら、次に隣の料理が再び運ばれてきたタイミングで、「定食セット!」と間髪入れず注文しました。

おしぼり・お水が欲しいところですが、提供はありません。

そもそもおしぼりはないようです。

先に飲み物がほしいところですが、持ってくる様子はありません。

このサービスはどうなのよと思いつつ店内を見渡したところ、この状況に文句を言う雰囲気はありません。

しばらくして定食が運ばれてきて納得しました。

メインは鰆(サワラ)の煮つけ・ごはん・サラダ・おでん3種・おしんこ・小卵焼き・おしんこ・味噌汁・わらび餅(デザート)それにハイボールが1杯ついています。

晩御飯に十分な内容(コンビニで同様に用意したら2000円は軽く超えるでしょう)に
(お~、健康的で豪華、それに安い)と心で叫んだ私は、おばちゃんがガサツに定食を置くときのドカンや愛想の一つもない仏頂面も言葉遣いの横柄さも(問題ない問題ない)と食べる前から満足していました。

嫌なことは何もされていませんしね。

きっとこの店は人手をあきらめ、サービス劣化は覚悟し、客数の増加にターゲットを絞ったのでしょう、

ただし、原価は工夫しています。

鰆はその日の最も安い魚・セットは原価の高いビールではなく、ハイボールで、おそらく薄いのでウイスキー30CCでしょう。

その他も想像できます。

2杯目の酒類が注文されれば、さらに粗利は上がります。

ちなみに私も2杯目おかわりをしました。

しわ寄せ問題はありますが、生き残り策としてはアリではないでしょうか。

では、また。

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