コラム

岩本留里子の『よい店長から盗め、ダメ店長から学べ』

2009年12月7日

Vol.3 Cafeチェーン店 Y店長

今回は、駅地下にある月商1500万円位でアルバイト数30名位のパンとコーヒーのあるチェーン店。
そのダメ店長から「クレンリネス」について学びたいと思います。

東京のど真ん中にあり、日本一乗降客数も多くまた、繁盛しているお店でしたが、このダメ店長になって1年、前年売上比が80%台そして新人アルバイトが1カ月持たないお店になってしまいました。

お店の状況は、きちんとしたトレーニングなどなく、入店したらすぐに作業そしてできないと怒られる。

店長のフォローはありません。

そんなダメな事だらけの店長ですが、中でも今回はクレンリネスにフォーカスを充ててみたいと思います。

ダメ店長は、忙しいのを理由に全く清掃をしていなかったのです。

作業台は汚いまま、しかもダスターはボロボロ、床にゴミが落ちていても気になりません。

灰皿と食器を一緒に洗う。

まな板も備え付けで取り外しが難しいため洗うのが面倒で汚い状態のままで作業は続きます。

冷蔵庫の下やゴムパッキンの部分にはカスがたくさん溜まっています。

お店のクレンリネスを忙しいことを理由におろそかにしていたのです。

ありがちですよね。

春先、‘黒い物体‘が出てきました。

ショーケースの中やカウンターを歩いたり、手の上に落ちてきたり、冷蔵庫の中にも・・・。

挙句の果てにはドリンクのストックの中にもぷかぷかと浮いている状況。

それでも、ダメ店長は「忙しいから仕方ない」、アルバイトも「店長もやっていないから」とつぶやく始末です。

本当に忙しいからできなのでしょうか?

答えは「NO」です。

少しでもお客様がひいたら楽をしたいだけなのです。

暇になったらダメ店長はどこかに消えてしまう、アルバイトはおしゃべりタイムが始まります。

忙しいから仕方ないは言い訳に過ぎないのです。

クレンリネスのしっかりしていないお店の商品に、お客様はお金を出して商品を買いたいのでしょうか?

それを家族や友人や自分の大切な人に食べされられるのでしょうか?

きっとそんな事は出来ないはずです。

お客様は裏側の状況を知りません。

お客様はお店を信じているのです。

ですからお店の人間が気にしなくなったカウンターの上を‘黒い物体‘が歩く姿にオドロキ、気づかぬふりで二度とお店に来なくなるわけです。

そうして知らぬ間に売上は落ちていくのです。

あなたのお店は忙しいから・狭いから・人件費がかかるから、とクレンリネスに手を抜いていませんか?

いくら業者が駆除をしても毎日の清掃ができなければ一緒です。

クレンリネスは、1日にしてならず、たった1人5分でも10分でもいいのです。

冷蔵庫の下のごみを取ったり、バックバー下のごみを取ったり、ショーケースの隅を拭いたり、製氷機のゴムパッキンを拭き取ったりとクレンリネスは日々の積み重ねです。

どこを掃除するかは日々変えてもいいのです。

通常、表面部分の掃除(視覚に入る部分)ならわかるアルバイトも死角の部分は何をどう掃除すればいいかわからないということがあります。

そこで一工夫を。

例えば簡単なクレンリネスカードを作成してみましょう。

「今日は○○さんはこのカードの部分を掃除してね」と言って渡す。

終わったらタイムカードと一緒に返却させます。

名刺サイズのものだとポケットにすぐに入ります。(例)

また、違う方法として、チェックリストを作成し、店舗内に貼付しておく事もいいでしょう。

ポイントは、
①デイリー(毎日すること)
②ウィークリー(毎週すること)
③マンスリー(月に1回すること)
この3つに分けて作成する事です。

日々の積み重ねと遊び心でアルバイトの心をつかみましょう。

店として綺麗な環境でつくられた商品だからこそ自信を持って販売できる、綺麗な店だからこそお客様は購入してくれる、その相乗効果が売上向上、安定につながります。

店長であっても、アルバイトであっても、役職に関係なくその理念は共通のものです。

みなさんから愛されるお店づくりをしましょう。

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