コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2023年5月10日

Vol.227 卵

卵不足が続き、外食チェーンで卵を使用したメニューが休止されたというニュースを毎日のように目にします。

そして、もちろん、スーパーでも卵の価格が高騰しています。

むか~し、むかし、生まれたばかりの娘は、卵、乳、大豆にアレルギーがあり、それらを除去していたら、1歳児検診で貧血が出てしまい、びっくりしたことがありました。

卵と大豆には、鉄分が多く含まれているため、その両方を除去すると、鉄分が取りづらいということをその時に気づきました。

卵は、最強の完全栄養食とも呼ばれ、たんぱく質も、良質な脂質も、ビタミン、ミネラル類も多く含み、更に、たんぱく質の優良性を示すアミノ酸スコアが「100」であることも知られています。

そんな優良児の卵をちょっと気になる面から見た話。 

● 卵黄と卵白ってどっちを食べた方がいいの?

栄養価が高いのは、卵黄です。

卵黄はたんぱく質だけでなく、ビタミンB群、ビタミンA、D、K、他、鉄分を含むミネラルなどが含まれ、最近では認知症の予防にもなると言われる「コリン」という物質も含まれていることがわかりました。

卵白は、ほぼたんぱく質だけとなります。

が、卵白には、起泡性があります。

メレンゲをつくることができる性質です。

この性質があるから、スクランブルエッグはふわっと仕上がり、ケーキはふわっと膨らみます。

また、卵白には、「セレン」という酸化をおさえる物質を含みます。

つまりは、卵黄も卵白も必要、ということですね笑。

ちなみに、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ、ほぼ卵黄の大きさは変わりません。

ですので、Sサイズの方が、全卵の栄養価は高くなります。

● 赤玉は栄養価が高い?有精卵は?

卵殻が淡紅色である赤玉と言われる卵の方が、栄養価がありそうに見えますが、これは鶏の品種、銘柄の違いによるもので、栄養価はほとんど変わりません。

また、ひなにかえる有精卵の方が、栄養価が高いように思われがちですが、こちらも染色体の問題だけで、栄養価に変わりはありません。

しかし、特製鶏卵と呼ばれる特殊な飼料を与えて育った鶏卵は、その飼料により栄養価は異なります。

ちなみに、卵黄は、唐辛子の餌を与えると色が濃くなります。

ですので、卵黄の色が濃いということだけでは、卵の栄養価が高いとは、一概に言えません。

ところで完全栄養食と呼ばれる卵、実はビタミンCと食物繊維が足りません。

ということで、卵かけご飯にしそか、ねぎを散らしたら、本当の完全食になる訳です笑。(注:卵の1 食に対する栄養価は、ほぼ3割程度ですので、これだけでは、1食分の栄養価には足りません)。

● おまけの薬膳的効能

卵は、薬膳では、「滋陰類」に含まれ、身体を潤す、身体に必要な水分を調整する役割をもちます。

潤いを与えるために、空咳や、のどの痛みなどに効くとされています。

潤いと共に、血を養うとされ、精神不安や不眠などにも効果があるとされています。

卵は、価格が安く手に入りやすい上に、栄養価も高く、そして調理の性質としても、必要な役割を果たしてくれています。

その卵が気軽に使えなくなるのはとてもつらく…。

卵の価格が元に戻るのに、1年くらいと言われていますが。

首を長くして待つことにいたします。

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