コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2024年9月9日

その243 店長は数値責任者

「なんでも高くなって、大変だわ。

お米まで高くなって、この先どうなるのかしら、値上げが止まらなくなったら困るわぁ。」

「どうにかなるだろ。いちいち落ち込むんじゃないよ。

そういうマイナス思考は人生を幸せにできない脳を作って、そのマイナス脳が・・・。」

「あなたのなんだかわからないウンチクやめてくれる。

どうにもならない時が来るとしたらどうしようって考えるのがなんでいけないのよ。

このお気楽男!」

「どうにもならなくなったら、その時に考えりゃいいんだよ。」

「あなたって、ウチのこと何にも知らないでしょ。」

「ウチのやりくりは、君の範疇だな。

ほらっ信じているから。」

「信じてる?

何を・・・。」

まぁ、どこの家庭でも同じだと思いますが、稼ぐ人、それをやりくり管理する人が役割で分かれていたり、双方だったり、経済は稼ぎと収支をいつも気にして把握していなくてはなりませんね。

私も反省です。

我々飲食店の仕事でも同じことが言えるのですが・・・。

【店長は数値責任者】

「最近売り上げが下がり気味で、ホント資金繰りが大変なんですよ。

店長は遅い時間の予約は断っているみたいですし、コロナ禍の時短に慣れて、相変わらず早く帰ろうとしているし、新メニューも出さないし、休むことと早く帰ることが最優先なので、店中活気がなくなっているんです。

今日は店長教育をお願いできますか。」

このような申し入れが連続でこの間ありました。

早速、店長と対面教育を行ったのですが、共通点が多く、似通った状況だったのには驚きでした。

「店長、お疲れ様です。

先月の売上はどうでしたか。」

この質問に対して「あ、ちょっとわかりません。すいません。」

「あ、お待ちください、調べてきます。」

2店の店長が、このように売り上げを把握していないのです。

売上をまったく意識していない店長の店が、調子がいいわけがありません。

店長とは職制です。経営者と同質なのです。

つまり、自分の店という感覚で、すべての事柄にアンテナを張っていなくてはいけません。

とりわけ、店の売上・客数・原価率・人件費など数値に関してはいつも目を光らせていなくてはなりません。

数値に悪い変化が見えれば、危機感をもって対処しなくてはいけないポジションなのです。

特に売上は常に把握していなければならない数値であり、毎日の売上や月間の売上はいつも頭の中に入れておかなくては、店長とは言えません。

店長は作業員のトップではなく、経営の管理職なのです。

二人の店長には、延々と説教をせざるを得ませんでした。

もう一つ気になるのは、数値を全く意識していないということは、店に愛情がないということです。

自分の休みやプライベートが優先で、気になる数値は給料のことだけ、給料の原資が売上であり、それは店があるからこその数字だという考えが抜け落ちているのです。

このように愛情のない店長がいる店の場合、私はすぐ調理場・控室を見に行きます。

この時も説教の後、調理場に向かいました。

案の定、調理場の中は「キタナイ」箇所だらけでした。

控室も乱雑で整理整頓も清掃も行き届いていません。

愛情がない店長の店はバックヤードが荒れています。

部下に対する基本の指示も出ていないということです。

両店店長ともに更なる説教が延々と続いたのでした。

公的機関から依頼され、訪問した店舗には、稀に店長兼任の経営者にもこういう方がいらっしゃいますが、もってのほかですね。

では、また。

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