コラム

旨いサービス!ウマイ接客!

2004年12月13日

3つの“ing”(4)

今回は、「3つの“ing”」の第二段階、「Thinking」についてお話させていただきます。

前回までは「Watching」することで“気付く”ことの重要性についてご説明しました。
しかし、気付けても、お客様それぞれの状況やニーズに合った行動を実際に取れなければ満足のいくサービスにまではなりません。そこで気付いた後、Thinkingすることが重要になるのです。 

例えば、食事を終えたカップルのテーブルに気付いたとします。邪魔なお皿を即座に下げに行きたいところですが、こんな場合もあるかもしれません。

★ふたりが食器の形や柄に興味を持って眺めている
★ふたりが込み入った話に熱中している

こんな時はお皿を下げに行かないほうが良いはずです。

また、そのカップルが食べた料理に感動していて、料理に使われた食材や調理法に興味を持っていたらどうでしょうか?
そんな時はお皿を下げに行くついでにちょっとした“ウンチク”をお話してあげると喜ばれるかもしれません。さらに付け加えるとこの場合にはお話しするための時間を考慮し、他の仕事の段取りをつけて他のお客様が迷惑しないようにしてから伺うべきです。
このように単に食事を終えたことへの気付きだけでも、ベストなサービスを行うためには実際の行動に移すまでに、Thinkingすべき要素が無数にあるということなのです。
お店に「食事を終えたテーブルはお皿を下げにいく」というマニュアルがあったとしても、それのみを徹底させただけではお客様を個々に満足させることはできません。それだけではむしろ「事務的なサービス」と受け取られることも多いのです。居酒屋などで「ドリンクのグラスが空になっていたらお客様から呼ばれる前にお替りをすすめする」というマニュアルを作っているところもありますが、「気が利くな」と思うお客様と「うるさい」と思うお客様がいるのです。このマニュアルの上にスタッフそれぞれがお客様や状況にあったThinkingをする習慣がついていることが大切であり、この辺りが「サービスはマニュアルだけでは十分ではない」とか「接客・サービスは奥が深い」などと言われる所以でもあるのです。

接客・サービスにおける 「Thinking」を習慣化させるためには現場で経験を積むことが一番ではありますが、仕事以外でも多くの人と接し、多くの価値観を柔軟に理解しようと心がけることで日々成長することができます(ホールスタッフを採用する際「“人”が好きな人」を選考基準にしているところもあります)。また、スタッフミーティングを定期的に行い、お客様や状況別のサービスシミュレーションをしたり、接客・サービスの実際の好悪事例について発表し合ったりするのも効果的です。

次回、「Asking」についてお話させていただきます。

石田義昭『飲食店繁盛ダネ!』

“繁盛仕掛け人”石田義昭が飲食店開店の秘訣から売上増進の策および、日本各地の販売促進事例をわかりやすく解説、紹介します。

井上奈々子の『食の豆々知識』

飲食店における重要なメニューの考え方、作成方法、そして商品開発の極意など、繁盛につながるヒントを余すところなく紹介します。

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

実践コンサルタントが各地を回りまさに“事件は現場で起きている”を心に目を光らせ、見つけた問題点を鋭く指摘、改善を容赦なく進言、普段の行動の様子を紹介します。

飲食店経営のあらゆる
お悩み、相談、ご質問をお受けします