コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2022年1月11日

Vol.123 販促には充分な議論を

寒中お見舞い申し上げます。

本年もよろしくお願いします。

新成人のお祝いも過ぎ、いよいよ街が正月から日常に戻ってきましたね。

先月、「コロナ感染の流行は間違いなく減少し、安心感が広がって飲食店へのお客様の足もだいぶ戻りましたね」と申し上げましたが、今度は〈変異株オミクロン〉なる、まだ全体像がつかめない新種が現れ、今後が心配な状況になってきています。

多くの企業は依然としてリモートワークを緩めることができず、飲食店での飲みニケーションも自粛通達を解除できない状況ですから、我々にとっては、頭の痛いことですね。

大多数のお客様が飲食店で過ごすことを楽しみにしていらっしゃるのは、緊急事態宣言解除の時に足を運ばれた様子でよくわかります。

ただし、巣籠生活に慣れた生活様式の変化も気になるところです。

新種の変異株が現れたことで、更なる飲食店離れが起こることが本当に心配です。

今後の様子を見ながら慎重に営業をしていきましょう。

こんな時でも頑張っている飲食店の視察は欠かさず行っていますが、大手チェーンのある店で行っている販促で「あれっ!?」ということに出合いました。

食事を終えてレジで会計をした時のことです。

「お客様、ありがとうございます。

次回からこのカードをご提示ください。

毎回5%引きになります」

マスク越しですが、明るい優しい笑顔で渡されました。

何だかわかりませんでしたが「ありがとう」と言って受け取ったのですが、扉を開けて出ていくときに、そのカードの説明が書いてあるポスターが目に入りました。

そこには、“60歳以上の方がご利用になれるお得なカード”とキャッチコピーがあるではないですか。

(え~、オレ60歳以上に見られたんかいなぁ)

確かに四捨五入すればそうですが、何だか気持ちが落ち込んでしまいました。

応対したスタッフは20歳代前半の方でしたから、若者から見ると、50歳も60歳も同じに見えるのかもしれません。

たぶんそうだろうと思ってみたり、いやいや、もうジジイなんだからしょうがないと思ってみたり、心がざわついて、最後は「絶対、使わないぞ」なんて思ってしまいました。

シニア世代への優待サービスは以前からありましたが、近年の傾向では対象年齢が70代以上から60代や50代に広げるところが増えていますね。

飛行機の切符から、日常の買い物、遊園地や動物園の年間チケットなど、それなりに使いでがある特典が用意されています。

飲食店でも、「スシロー」は60歳以上にシニア用平日限定スタンプカードの配布、「すたみな太郎」は焼肉・寿司の食べ放題60歳以上は常時割引、「シズラー」は60歳以上に20%割引のシニアカードの発行、「すかいらーくグループ」は60歳以上に5%引きで食事ができるプラチナパスポートの発行などなど。

販促内容自体は悪いものではないですが、配布する時の渡し方や言葉のかけ方をどうするべきなのか、充分な議論が行われないと気分を害する方や、もしかしたら怒り出す方もいるのではないかと考えてしまいました。

特に“〇〇歳以上” の場合は、告知は充分に行ったうえで、お客様からの申し出で提供するようにした方がよいでしょう。

なかには、初回来店時に年齢が証明できる書類が必要としている店もあります。

喜んでいただけると思った販促が意外な弊害を生む場合もありますから、充分注意しなければいけませんね。

ますます寒くなるようなので、風邪などひかないようお気をつけくださいね。

ではまた。

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