コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2021年11月8日

Vol.209 ガラムマサラ

先日、お花の教室とのコラボで、「自分好みに仕上げるガラムマサラ作り&アジアンテイストなテーブルフラワー」というワークショップを行いました。

まずは、アジアンカラーなお花をアレンジして、その後、ガラムマサラについての説明や、スパイスの説明をしたあと、みなさまとお好みのガラムマサラを作りました。

なかなか、皆様とても楽しんで頂けていたようでしたので。

調子にのって、ここでもガラムマサラの話をちょっと...(笑)

ちなみに、このお花のお教室とのコラボ企画、いつも、テーマの器にお花をアレンジして、そのお花はもちろん、器も、そしてその時の作ったもの、ガラムマサラや梅シロップやお味噌などとそのレシピをお持ち帰りできるので。

とても人気の高いワークショップなんです。

もし機会があればぜひ。なんて宣伝も少々(笑)。

●ガラムマサラってなに?カレー粉と違うの?

カレー粉は、実はインドには存在しません。

カレー粉はイギリス発祥のミックススパイスです。

カレー粉に使用されるスパイスに特に決まりはありませんが、通常20~30種類が使用されていると言われています。

各メーカーによって、使用されるスパイスの種類も配合も違いますが、カレー粉はもともと洋食の「カレーライス」をつくるためのもの。

どれもマイルドな仕上がりになっている印象があります。

一方ガラムマサラはインドを代表するミックススパイスで、通常3~10種類のスパイスを配合して作られます。

1つのミックスに使用するスパイスの種類は少ないですが、インドの家庭では、それぞれ肉用、魚用、などに分けて何種類かのレシピをもっているそうです。

ガラムは温かい、マサラは混ぜるという意味。

家庭の味のミックススパイス、といったとこでしょうか。

それぞれのスパイスの香りや辛味が際立っているように感じます。

●ガラムマサラの作りかた

元々、各家庭で手作りするものですので、配合には決まったものはありません。

が、作りやすい基本の配合を一応。

土台の香り、甘い香り、爽やかな香り、辛味、で考えます。

土台を6割、甘い香りと、爽やかな香りで3割、辛味で1割。

これを基本にして、崩していくと作りやすいです。

土台の香りは、クミン、コリアンダー。

甘い香りは、クローブ、ナツメグ、シナモンなど。

爽やかな香りは、カルダモン、ローリエ、フェネグリークなど。

そして辛味は、ブラックペッパー、カイエンペッパーなど。

ちなみにカレー粉の中心スパイスあるターメリックはすべてを黄色くしてしまうので、使用しません。

ガラムマサラには、色付けスパイスは不要と考えます。

これらをホール(丸ごと)で合わせ、フライパンなどで乾煎りします。

香りが出てきたら、ミルにかけて、粉末になれば出来上がりです。

きれいな粉末にならない場合は、ザルなどで濾し、残った部分をもう一度ミルにかけ、という作業を何度が繰り返します。

すべてがホールでそろわなく、パウダーのものがある場合は、パウダーは乾煎りした最後に加えるようにします。

また、家庭で簡単に作りたい場合は、パウダー合わせ、といって、それぞれ粉末のスパイスを合わすだけでも、市販とは一味違ったガラムマサラになります。

ホールから作った場合は、瓶などに入れ、冷蔵庫あるいは冷凍庫にいれておけば、半年くらいもちます。

パウダーで合わせる場合は、どんどん香りがなじんでいってしまうので、使用する直前に合わせるようにするといいでしょう。

●ガラムマサラは薬膳なの?

日本には、「七味唐辛子」というミックススパイスがあります。

各家庭では、合わせることはありませんが、七味唐辛子屋さんでは好みに合わせて、スパイスの種類や量を調整してくれるところもあります。

使用されているスパイスは、とうがらし、山椒、紫蘇、青のり、けしの実、麻の実、陳皮、ゆず、ごま(白・黒)など。

こちらも、決まっている種類やレシピはありません。

七味、というだけあって7種類入っていることが多いですが、それにも決まりはなく、安い七味には3種類くらいしかミックスされていなかったりします(笑)。

さてこの七味。

元々、漢方薬を食としてとれないか、と考えて作られてものといわれるだけあって、身体を温め、滋養し、身体を潤し、気をめぐらせ、風邪の予防もする万能薬です。

スパイスは、漢方薬としても使われていることが多いですね。

そして、ガラムマサラもまさに漢方薬。身体を温め、発汗させ、気をめぐらせ、胃腸を調える。

インドの七味唐辛子です(笑)。

みなさまの食卓に、七味唐辛子とガラムマサラを日常に(笑)。

ちなみにガラムマサラ、どうやって使うの?とよく聞かれます。

インドカレーを作るときにももちろん使いますが、もっと、気軽に。まずは、市販のカレーにかけてみてください。

スパイスのきいた本場のカレーに変わります(笑)。

ほかにも、からあげなどの揚げ物、ポタージュなどのスープにかけてみる。

オクラやもやしなどを炒めてみる。

コーヒーや紅茶に入れてみる。

和食にも合わせてみると実はいけたりします。

もっと、ガラムマサラも、七味唐辛子のように身近なスパイスとなるとおもしろいですね。

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