コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2021年12月6日

Vol.122 ランチ接客の落とし穴

11月に入り、嬉しいことに、コロナウイルスの新規感染が急激に減少し、東京でも11月の感染者数は562人。

月間での3桁は「第1波」後の2020年6月以来、1年5カ月ぶり。

20年度以降では最少となりました。

全国の「緊急事態宣言」も、全面解除となった安心感が広がって飲食店へのお客様の足もだいぶ戻りましたね。

街の人出も、確実に増えているのがわかります。

ただし、戻っているといっても昼間の様子であって、夜を主力とする飲食店の売上は通常の60~65%がほとんどで、まだまだ時間がかかりそうです。

飲食コミュニケーションを楽しみにしているお客様は多数いらっしゃいますが、企業は依然としてリモートワークを緩めていません。

例年であれば、一番の繁忙期である12月ですが、忘年会も72%の企業が〈やらない〉という意向を示しているという調査結果(グルメサイトの調査)から大きな期待をしてはいけないかもしれません。

巣籠生活に慣れた生活様式の変化も気になるところです。

今後の様子を見ながら慎重に営業をしていきましょう。

今回は戻りが見える昼に焦点を当てて、ランチを中心に視察してみました。

ほとんどの店は、ひさかたぶりの活気を見せ、働くスタッフの方々のはつらつとした気持ちが伝わってきて、本来の〈働き甲斐〉が感じられて、私もうれしい気持ちになりました。

そんな中でチョット「あれっ?」ということに出合いました。

混雑するちょっと前にその店に入店した時のことです。

「こちらにどうぞ」と案内をしたそのベテランらしきスタッフは、私が席に着くやいなや、すかさず「ご注文は?」と聞いてきたのです。

「え、ちょっとメニュー見るから待ってくださいね」と伝えると、驚く返事をしてきたのでした。

「ウチのお客さんは、みんな決まってるオーダーをすぐにするからさあ」

「え、あぁ、じゃ、この定食を」

何だかすぐ頼まないと迷惑かけている気持になり、適当に頼んでしまいました。

彼が去った後にメニューを眺めながら、“あ、これが良かったなぁ、こっちも良かったかも、なんなんだよ、アイツ!”と考え始めると腹が立ってきました。

かといって、ことを荒立てれば変な客になりそうで、おとなしく待って、出された定食を黙々と食べたのでした。

食べてる間、“こんな店2度と来るのやめよう”とか、“いや、また来てあんな事言われたら言い返してやろうか”とかが頭に浮かび、胸のつかえがとれず、食事を楽しむなんて気分は一切ありませんでした。

我々の業界では、ランチのお客様が夜になかなかつながらないということは久しく言われていることですが、ベテランの彼はそのことが頭に合って、昼のお客様を軽く考えているのでしょうか。

夜の集客がままならないなか、少しでも昼の回転率を上げたい気持ちもわかりますが、夜のお客様がたまたま昼に来てこんな目に合ったらどうなんでしょう。

もう少し、想像力が欲しいですね。

そもそも、昼もお客様を失っていくかもしれません。

我々の店では、どんなお客様も大切さは同じですよね。

ホント、たいへんですが何とか耐えましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

ではまた。

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