コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2020年10月12日

Vol.196 陽盛体質

マスクの生活にもだいぶ慣れ、コロナとの共存生活を迎えている今日ですが。

今年は、風邪薬の売り上げが悪いとか。

マスクをしていることで、うつす率が減っていること以外にも、自粛中からの健康ブームもあり、免疫力が高まっているからだそうです。

コロナも悪いことばかりじゃなかったのか?

さて、今回は、免疫力が高いタイプの体質、「陽盛」体質の話。体質判断チェックシートは過去の回にのっています。

ぜひ、ご自分の体質をご確認ください。

●陽盛体質とは

臓腑の働きが強盛な体質です。

強すぎて陰陽のバランスがくずれ、陽が強い状態に傾き、体内に熱がこもっています。

赤ら顔、呼吸が荒い、汗をかきやすい、食欲旺盛、冷たいものを好み、にきびや吹きでものができやすい、便がくさい、などの特徴があげられます。

舌質は、濃いピンク色で、舌の先が赤っぽいなど、熱がある状態と同じような舌になります。

脈も強いです。

一般的に、子供は、陽盛タイプだと言われていましたが、ここ近年では、冷え性の子や、陰虚の子も多く、免疫力が低下していると言われています。

●陽盛体質の薬膳処方

今まで説明してきた体質、気虚、陽虚、血虚、陰虚は、基本何かが「足りない」という体質です。なので、足りないものを補うのが、薬膳処方の基本です。

今回は、逆に「多い」状況です。

ですので、まず、その多いものをおさえる、減らす、ための処方になります。

まずは、熱があがる、唐辛子などの「温裏類」、くるみや羊肉などの「助陽類」の食品は避けるようにします。

このタイプの体質の方は、辛いものや、身体を温める羊肉などが好みで、食べ過ぎていることも多いです。

そして、熱を取り去るために、身体の内側から冷やす「清熱類」の食材を使用します。

体表の熱による「赤ら顔」や「汗をかきやすい」などの症状が強い場合は、発汗により熱を取り除く「辛涼解表類」の食薬を加えます。

また、利尿作用が強い「利水滲湿類」を利用し、尿と一緒に熱を排出することも効果的です。

食薬の性質としては、苦味や鹹味のものがおすすめです。

●陽盛体質によい食材

今までに何度も出てきていますが、確認です。

清熱類:セロリ、白菜、トマト、ゴーヤ、スイカ、緑豆、豆腐、カニなど

辛涼解表類:菊花、ミント、くずなど

これらを組み合わせて摂取するようにします。

近年、冷え性などの低体温の症状がある人が多く、もっと体温を上げた方がいい、と言われます。

体温が1度上がると、代謝が12%、免疫力が30%アップするそうです。

陽盛体質は、体温が高い人に処方する、というよりも、つねに熱が高すぎる、汗を過剰にかく、などのために、体力や津液(身体に必要な水分)を消耗しやすい、などの症状をおさえるためのものです。

ちなみに、うちの子供たちは、平熱が高く、ちょっと暑い日や身体を動かすとすぐに37℃になってしまい、学校のプールの日などは熱を記入するのに、困りました(37℃以上は、入れないため)。

そして、今もまた、コロナの検温で、すぐに再検温になり、困っています…。

平熱が高いことはいいことなのですが…。

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