コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2020年10月17日

Vol.108 GoToイートの課題と対策

新型コロナウイルスの感染は相変わらず続いており、終息が見通せない状況にありますが、経済への影響が深刻化する中で、政府による一連の景気テコ入れ策が本格化しています。

「Go Toトラベル」「Go Toイート」そして、この後、「Go Toイベント」が始まります。

オリンピックという一大プロジェクトを実現するための布石づくりが始まったわけです。

確かに恐れているばかりでは、景気が悪くなるわけで、「国民の健康と命はどうなるのだ」という声はあるものの、バランスを考えながら経済活動とのバランスをとっていかなければならないでしょう。

ただ、やはり、というか性急に行われている「Go Toキャンペーン」にはほころびがいくつも出ているようです。

「Go Toトラベル」では、利用者に配られる地域共通クーポンのうち、スマートフォン対応の電子クーポンが使用したくても店舗によっては使えない所もあり、「地方ではほぼ紙クーポンしか使えない」「使えないなら意味がない」と不満の声が上がっています。

また、紙ベースのクーポン券も店舗が対象店舗として、まだ登録がされていないために使えないといった事例が報告されています。

我々の業界に直接的に影響する「Go Toイート」キャンペーンをめぐっても、「なんじゃそれ?」という不適切な利用が出ていると指摘されていますね。

「Go Toイート」は、地域内の登録店舗で使える25%のプレミアムを付けた食事券の発行と、予約・来店した方へ、次回以降に使えるポイントを付与するオンライン予約サイトでのポイント還元がありますが、ポイント還元では予約サイト経由で、ランチ時間は1人500円分、15時から夕食時間は1人1,000円分の還元となっています。

それに目をつけた一部の困った客がディナータイムに予約をして、300円程の1品を頼んでそれだけで会計をして帰ってしまうというものです。

差し引きの700円程を懐に入れるということを5~6回繰り返せば「錬金術」になるという、いやはやよく考えたものです。

すべてのメニューが298円で知られる「鳥貴族」で、1品だけ注文して1,000円分のポイントを受け取る利用法が「トリキ錬金術」などと呼ばれてネット上で広がったようです。

このキャンペーン始まる前に、確かに顧問先の皆様に「最初にランチなら500円、ディナーなら1,000円を払うだけでその後は、同じことを繰り返せば、期間中ず~と無料でたべられるシステムですよ、

店は困らないけどね」と言っていたと思いますが、まさか居酒屋的な店で、こんな使い方をする人が現れるとは思いませんでした。

これではサイトへの手数料を払うとさすがに利益的に合わなくなります。

予約された席は少なくとも30分前から空けておきますし、次の予約ご案内は2時間後になります。

違法ではない行為なので、いさめることもできませんが、飲食店を救済するための政策が逆に飲食店を苦しめるシステムとして利用されるのはいかがなものかと思います。

その後、政府は、ポイント相当額(昼食で500円分、夕食で1千円分)を下回る飲食を事業対象から外す方向で調整していることを明らかにしました。

「鳥貴族」は、「Go Toイート」を利用する予約はコース料理だけに限定することを決めるなど、個別に対策を講じたようです。

制度が悪いのか、自分の損得だけで利用する方が悪いのか。

抜け穴は即刻改善していただいて、飲食店の一助となるキャンペーンとなることを期待したいですね。

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