コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2020年1月7日

Vol.99 お客様の言葉を尊重

新年明けましておめでとうございます。

皆様には、気持ちも新たに新年をお迎えのことと思います。

今年もよろしくお願いいたします。

前年を振り返れば、自然災害の多かった年でもありました。

お店の備えのことや身の回りの対策について触れた回もありましたが、地震・豪雨・河川の氾濫・土砂崩れなどの自然災害は、いつどんなときにどこで起こるかわかりません。

また、どこにいるときに被災するかもわかりません。平常時に備えをしておくことが最も大切ですね。

そんな思いもあって、先日、通りがかりの店で、ふと笛を買う気になりました。

その時気づいた現場のお話。

〈外出中、地震に合い、閉じ込められた時の対策〉として、大声を出し続けるよりも、「笛」を吹いたほうが体力を温存でき、かつ救助要請の信号が遠くまで伝わる、という理由から最近では、「笛」が防災グッズの一つとして100円ショップでも売られています。

まだ、もう少しやりたいことや、心残りがある私としてはぜひ救出していただきたいので、笛を買おうと思い立ち、店に立ち寄りました。

中に入って探してみたのですが見つからず、これは店員さんに聞いた方が早いと思い、声をかけました。

「すみません、笛を探しているんですがありますか?」

若いはつらつとした店員さんが、こう応えました。

「えっ、笛?あぁ、ホイッスルですね。こちらです。」

「あっ、ありがとう。」

〈えっ、笛?〉と言われた瞬間はないのかと思いましたが、〈ああ、ホイッスル〉と言われた瞬間、ああ、言い方が古かったのか(しまった、おっさんと思われたんだぁ)と心が揺れました。

確かにパッケージにはホイッスルと商品名が入っていました。

こんなことは些細なことですが、言い直しをされると、ちょっと気になりますね。

「お客様からご注文をいただいたらそのまま復唱するように」と昔勉強した私はそのことを思い出して、『悪気はないにしてもお客様の心は乱れてしまう』を体現したわけで、皆様のお店ではこんなことが起こらないようにと思った瞬間でした。

心理学で<ミラー効果>という言葉があります。

人間は自分と同じ行動・同じ言葉を使われると親近感が増加するというものです。

海外で日本人に出会うと無防備に仲良くなった経験はありませんか。

同じ日本人だから大丈夫と感じてしまうんですね。

あなたが「この花綺麗ですね」と言った時に「えぇ」とか「そうですね」と返事されるのと「はい、この花綺麗ですね」と言われるのでは心理的に全く違ってくるのを感じませんか?

(感じない方はもうここから読まなくていいです)。

つまり、相手の言葉をそのまま尊重して返すと相手はあなたを同類であると潜在的に感じるというのがミラー効果というわけです。

まあ「類は友を呼ぶ」というやつでしょうか。

お客様が「レモンスカッシュください」と言ったのに「レスカですね」と答えたら「最近の若い奴は何でも縮めて」と思われるかもしれません。

「この上着預かって」「はい、ジャケットですね」なんていうのもムッとするおやじがいるかもしれません。

できれば私も「あぁ、笛ですね」と言ってほしかった。

また、今年もバリバリ健康で頑張りましょう。

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