コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2024年4月9日

Vol.238 紅麴

紅麹のサプリによる健康被害に関するニュースを毎日のように目にします。

私も、発酵の教室などを行っていることもあり、味噌や麹調味料について、問い合わせがあったりもします。

今回、紅麹サプリから、想定していない成分が含まれていることが公表され、どちらにしろ、紅麹自身の問題ではなくなってきている感じはしますが。

紅麹の麹菌と、味噌や酒、調味料として人気の塩?などを作っている麹菌は、別物です。

今回は、ちょっとそんな「紅麹」の話。

 

● 麹菌ってなに?

そもそも、日本の「麹」は、米や麦などの穀物に「麹菌」を生やし、発酵させたものです。

米に麹菌をつければ米麹、麦に麹菌をつければ麦麹となり、これを大豆などの豆類と合わせて味噌をつくると、米味噌、麦味噌となります。

最近、話題の塩?や醤油麹、玉ねぎ麹などは、上記の「麹」とは違い、主にこの米麹を混ぜ合わせて発酵させた調味料です。

味噌や酒をつくる麹菌は黄麹菌、泡盛や一部の焼酎などをつくる麹菌は黒麹菌と呼ばれ、どちらもカビ菌の一種であり、「アスペルギルス属」にあたり、国菌に指定されています。

 

● 紅麹の麹菌は違うもの?

紅麹は、こちらも米などの穀物などに「紅麹菌 」を生やし発酵したもので、もともとは中国の麹菌です。

沖縄ではこの「紅麹菌」がよく使用され、「豆腐よう」などが有名です。

日本の麹と一緒で、うまみ成分や甘い香りをつくりだす一方、発酵するときに紅い色素を生み出します。

そのため、健康食品としての使用とは別に、昔から着色料として使用され、今では加工食品にもよく使用されています。

今回のニュースで、なんでこんな冷凍食品にも入っているの?と驚かれている方が多かったのではないでしょうか。

こちらも、カビ菌の一種ですが、こちらは「モナスカス族」に分類されます。

 

● カビ菌って毒はないの?

カビには、食べられるものと食べられないものがあります。

チーズなどに生えている白カビや青カビや食べられるカビです。

しかし、古くなった食品に生えた何色だかわからないカビや、お風呂に生えるカビはもちろん食べられません。

毒性があるか、ないかは、食べられるか食べられないかの違いです。

といっても、もちろん食べられたから、これには毒性がない、なんて、そんなことはできませんから、売っているカビ製品には毒性がないことが確かめられています。

「モナスカス属」には、「シトリニン」というカビ毒を出すものも実際にあります。

これは、腎機能に影響を及ぼすことがあるとされ、ヨーロッパでは、健康被害も報告され、この「シリトニン」に基準値を定められています。

ただ今回、小林製薬が扱っていた紅麹は、この「シリトニン」が発生しないことがゲノム解析の結果でわかっています。

そして、公表されたのは、青カビから生成される「プベルル酸」に近い成分という未知の成分であるらしいです。

つまりは、今回の件に関して、紅麹をはじめとする「麹」は被害者であったような感じです。

今回、多方から質問を受けました。

皆様、わからないものに関してはもちろん心配ですよね。

うちの教室で扱っている麹菌は、紅麹菌とは別物ですから、問題ないですよ~とは言いましたが。

どちらもカビであることには違いはなく。

教室で作ったお味噌の表面に若干カビが生えることももちろんありまして、その時は、消毒したスプーンなどですくい取ってください、と申し上げてはおりますが、こちらももちろん、自己責任でとお願いはしております。

私自身、味噌に生えたカビを多少口に入れたところで、腎機能がどうにかなるとは思ってはいませんし、サプリのように毎日摂取したことによるとは思っていたりしますが。

それでも、何がおきるのか、どうなるかはその人次第でもあり、今後もこのカビについては気にして、勉強していかなくてはならないと思っています。

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