コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2019年8月13日

Vol.94 節約が招く現場の不快

こんにちは。

毎日うだるような気温が続いていますね。

熱中症で倒れた方々のニュースが流れるたびに気の毒になります。

これを読んでくださっている皆様の穏やかな毎日を祈念いたします。

最近、訪れた会社の社員の方から驚きの言葉を聞きました。

「申し訳ありません、ウチの会社暑いでしょう。

会社の規則で室内温度が30度を超えないとエアコンのスイッチは入れられないんです。

節約令が出ているものですから。

でも、先ほど超えましたからスイッチ入れますね。

ただ、設定温度は28度なんですけどね。」

「大丈夫です、お構いなく」そう答えた私ですが、社員の方々が気の毒になりました。

社長や幹部の方々は外出が多く事務所にずっといるわけではないようです。

おそらくデスクワークの人たちは運動量が少ないので大丈夫と思っているのでしょう。

大いなる勘違いですね。

昔と天候が変わっているのは周知の事実ですが、それだけでなく働く人たちの生活環境も変わっているのです。

通勤電車・バスには冷房が完備されており、街の商業施設には暑さをしのぐ設備が備えられ、家に帰ればエアコンがあります。

そんななか、1日の大半を過ごす職場が我慢・忍耐の場所だなんて時代遅れも甚だしい限りです。

仕事の効率が落ちることがあっても上がるとは到底思えません。

飲食店でもたまに気の毒になる場面に出合うことがあります。

開店前の清掃に励んでいるスタッフの尋常ではない汗の量を見た時です。

「エアコンはお客様を迎える開店の時間30分前からです。

もったいないって、社長から経費節約を言われてるんで。」

「君は汗だくで体調は大丈夫なの?」

「大丈夫です、エアコンが入れば汗は引きますから。」

(おいおい、何を言ってるんだい、汗対策は君だけの問題じゃないんだよ。)

体育会系の店長やスタッフは暑さや体力に自信があるのかもしれませんが、皆が皆そうではないでしょう。

中には掃除でぐったりして、営業中、お客様に笑顔を見せられない方もいるかもしれません。

汗のにおいが気になる女子は強い香水をつけるかもしれません。

現に飲食店で香水のきつい臭いを感じて、食欲が減退した経験が私にはあります。

「開店前の準備で汗をかいて、お客様を迎えることに抵抗はないの?」とスタッフに聞いたことがあります。

「自分の汗のにおいが、もしかしてお客様に不快感を与えていないか、心配になることはあります」という答えが返ってきたことが何回もあります。

また、「あまり暑いと清掃そのものがおろそかになってしまうこともないとは言えません。

手を抜いてるわけではないのですが・・・」とも。

(そりゃ、手を抜いてるって言うんだよ。)

節約は立派なことですが、そのことがお客様とのコミュニケーションを阻害することにつながり、不快を与え、あげくに清掃が不完全でクレンリネスのレベルが低下するのではお話になりませんね。

皆さんのお店ではスタッフに対する暑さ対策はできているでしょうか。

お客様に快適な空間を提供することはもちろんですが、スタッフの方の働きやすさへの配慮が必要ですね。

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