コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2017年4月11日

Vol.154 ほたるいか

その名の通り、ほたるのような光を放つ「ほたるいか」。

足が早い(鮮度が落ちやすい)食材なので、ボイルしたものか沖漬けされたものが主流でしたが、最近では生のものがこの時期でまわるようになりました。

生のほたるいかで炊き込みごはんをつくると、お米がピンクに染まり春らしいですね~。

ということで今が旬の食材、今回は「ほたるいか」。

●ほたるいかもどき!?

ほたるいかなのに、もどきって...(笑)。

産地にもよりますが、旬は4~5月。

「ほたるいか」は、晩春の季語にもなっているそうです。

粋ですね。

この時期、普段は、深海で泳いでいるほたるいかが、産卵のためにあがってきます。

この水揚げが、きらきらと光って、春の風物詩として観光名所になっているんですね。

ちなみに、この光、身体に発光器というものを持っていて、それが光るそうです。

深海魚は発光器を持っていることが多いようですが、中でもこのほたるいかの発酵器は1000個以上だそうで。

だから、あんなに幻想的できれいなんですね~。

●生で食べられる?

ほたるいかには、「旋尾線虫 せんびせんちゅう」とよばれる寄生虫がついていることが多く、感染しているものを生で食べると、食中毒のような症状をひきおこします。

厚生労働省の指導では、生で食べないように、十分に加熱調理をしてから食べるようにとの通知が出されています。

沖漬けなどの加熱しない料理に使用する場合は、-30℃以下で4日以上冷凍するようにとのことです。

ところで、ほたるいかを調理する前に(茹でた後でもいいですが)、ぜひ、眼球とくちばし、軟骨をとってみてください。

やわらかく、ふっくらした全く違った食感になります。

ぜひお試しを~。

●こんなに小さくて栄養あるの?

まるごと食べられる(内臓まで)魚は、栄養が多いと言われます。

ほたるいかも、もちろんそのひとつ。

イカにはタウリンと呼ばれるアミノ酸のが多く含まれている上、ビタミンAとEの免疫力アップビタミンもたっぷり。

中医学的には、いかは補血類。

ほてりやめまい、不眠などに効果があるとされています。

春に必要な栄養がたっぷりとはいってます。

さすが旬。

さて、水揚げされるほたるいかはほとんどがメスだそう。

確かに、産卵のために沖に海面にあがってくるんですものね。

では、オスはどこに?

ほたるいかは、深海魚ですが、交尾を終えたオスはそのまま底で命を終えてしまうんだそう...。

もともと、ほたるいかの寿命は1年。

はかない命、ありがたく頂きたいものです(そんなこと言っていて、結局食べるんかいっ、という感じですが 笑)。

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