コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2017年2月6日

Vol.152 手前味噌

近年、味噌作りがブームです。

あちこちで、味噌作り教室やワークショップが開かれ、かく言う私も味噌作り教室を行っておりますが、全日満席となり、追加日程を2日増やさせて頂きました(←宣伝 笑)。

今回は、そんな味噌作りのお話。

●味噌作りは難しい?

味噌を作っているというと、味噌まで作るの?すごいねと驚かれることが多いです。

でも、味噌作りは、醤油や他の調味料に比べ、実は簡単なんです。

乾燥した大豆を茹でて、つぶす。塩と米麹(または麦麹)を混ぜ合わせたところに、つぶした大豆をまぜて、団子にし、容器に詰める。

以上。

ね?

梅干しを作るよりも簡単かもしれない(あ、梅干し作りの大変だと思っている方、梅干しも簡単ですよ 笑)。

ただ、例えば、4人家族が1日1食お味噌汁を飲んだとすると、約50g/1日の使用量となります。

月に25日食べたとして、1250g/月。

年間約15㎏必要となる訳です。

1家族で。

15㎏の味噌作りとなると、約4㎏の大豆を煮なくていけない。

これは、かなりの大仕事です。

だから、すべてのお味噌汁に、というより、特別なときのお味噌にだけ使用されている方が多いようです。

それでも、初年は500gの大豆から始まり、次の年は1㎏、そして、2㎏、とやめられなく方がほとんどなのは、それだけの魅力が手作り味噌にはあるということなんですよね。

●なぜ手前味噌がおいしいの?

手前味噌、という言葉。

自分で自分のことをほこる、自画自賛、自慢といった意味です。

もちろんこれは、自分の作った味噌が1番おいしいと自慢することからきています。

なぜ、自分が作った味噌が一番おいしいのか。

無添加で、本来の素材の味がするから。とか。

手塩にかけて育ててきたから(一般にお味噌は10ヶ月ほどかけて作ります)。とか。

もちろん、それもありますが、自分の好みの味に仕上げることができることも、1つの理由かもしれません。

お味噌にはいろいろな種類があります(そんなことは、前に、このコラムで書いたような気がしますので省きますね 笑)。

その麹の種類や、量、塩分、すべて、自分で決められます。

普通、味噌作りのレシピで多いのは大豆と麹は同量で、塩分は13%くらい。

ちなみに、うちは、麹は1.2倍くらい(麹の種類により変えます)、塩分は11.5%くらいが好み。

もちろん、素材は、選び抜かれた私好みのものです(笑)。

自分好みのお味噌が作れたら、やめられなくなります...よね(笑)。

●寒仕込みって?

よく耳にする寒仕込み。

日本酒を作るときなどにも使いますね。

字のごとし、寒、寒い時に仕込むことを言います。

ちなみに、寒くない時(春とか、夏とか)にも、仕込んで仕込めないことはありません。

しかし、寒い時に仕込むことにより、発酵するまでに、大豆と塩がなじむ時間があり、そしてなじんだ後に、緩やかに時間をかけて発行することで、味に深みや旨みがでておいしく仕上がります。

これを暑い時期にやってしまうと、塩がなじむ前に、急激に発酵が始まり、味がまとまりのないものになってしまいます。

スーパーに並べられているお味噌は、化学調味料や添加物が入っているものはさておき、無添加のものでも、3ヶ月くらいの熟成期間でできていることが多いです。

これでは、自分が作った味噌にかなう訳ありませんね。

そして、やはり手前味噌を仕込むには、寒仕込みなわけです。

どうぞ、うちの教室で寒仕込みのお味噌作りを体験してみませんか(笑)←もちろん宣伝です。

お味噌作りで、一番質問が多いのは、カビについて。

寒仕込みのもうひとつの理由に、雑菌が発生やすいから、寒い時期に仕込むということもあり。

ただ、今は暖房がきいていますから(うちは、暖房ほとんどつけませんが 笑)、そんな部屋で仕込むと、せっかく寒仕込みにしていても、雑菌が発生しやすくなります。

まずは、お味噌仕込む2時間程度は、暖房をがまんして、ちょっと寒い部屋で仕込むようにしましょう。

また、容器に味噌を投げ入れた(空気をぬくため)あと、そのまま蓋をして保管するのも、カビの原因。

容器の外側は、思っている以上に、仕込み途中の大豆や、麹などがくっついています。

必ず、アルコールなどで、容器の外と、内側(味噌にはつかないように)をよくふくこと。

外に味噌もどきがついていると、カビが、「お、ここに餌があるな」と入ってくる原因になります。

きちんと、それをしておけば、あとは、塩分がきちんとあれば、ほとんとカビることはありません。

みなさまも、一度、味噌作りをしてみてはいかがですか。

やめられなくなりますよ(笑)。

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