コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2016年2月8日

Vol.140 麹

今月と来月と、味噌づくりのワークショップをすることとなりました。

味噌を作り始めてから、12年。

初めは大豆1㎏から作り始めた味噌も、昨年は、大豆10㎏分、今年は大豆20㎏分を仕込みます(笑)。

同じように作っているつもりでも、大豆などの材料はもちろん、ちょっとした水分、気温、室温などによっても、出来上がりが変わり、「味噌は生きてるんだなぁ」と感じます。

ワークショップで味噌を作ったあとは、みなさまとランチをご一緒にする予定。

ならば、すべてのメニューに麹を使用した、麹ランチにしようと、今、麹で塩麹・醤油麹・甘麹…いろいろなものを仕込んでいます。

楽しみ♪

ということで、今回は、麹の話。

●麹って…?

麹は、蒸した穀類や豆類に「麹菌」とよばれるカビを生やしたもの。

米に生やせば「米麹」、麦に生やせば「麦麹」となります。

ちなみに、「麹」は中国からきた漢字で、「糀」は日本で作られた漢字。

一般的に、米麹にだけ、「糀」は使っているようです。

発酵食品は、高温多湿な地域で発達し、発酵に使われるカビはさまざまなものがありますが、麹菌は日本でしか育たないとか。

そのため「国菌」に指定されているようです。

まさに、日本の食ですね。

●身体にいいっていうけど何がいいの?

麹菌が米や麦に生える過程で、3つの酵素ができます。

1つは、でんぷんを糖に分解してくれるアミラーゼ。

そして、たんぱく質をアミノ酸(旨み)に変えてくれたり、やわらかくしてくれるプロテアーゼ。

またこれは、殺菌やウイルスなどから守る抗菌作用や、善玉菌を増やして防御してくれる働きも。

野菜や果物に多く含まれる酵素はこれですね。

最後に、脂肪を分解してくれるリパーゼ。

麹が、デトックスやダイエットにいいとか、美肌効果やアンチエイジングだとか、免疫力をアップするとかいわれているのは、こういった酵素の働きのおかげなのです。

●生麹と乾燥麹、どっちがいい?

生麹は、冷蔵保管が鉄則で、長期保存することができません。

乾燥麹は、常温で保管可能で、比較的長期間、保管できます。

使用するときには、水で戻してから使用します。

麹の力としては、想像通り、生の方が強いです。

そしてもちろん、味は、格別に生の方がおいしいです(当社比 笑)。

最近は、冷凍の麹も見かけるようになりました。

冷凍では保存は3ヶ月ほどだそうです。

お好みで使い分けて頂くといいかもしれません。

また、酵素は、70℃を超えると、ほとんどの酵素が力を失います。

甘酒を仕込む時や、それを飲むときなど、火を入れる時には、70℃以上にならないように気をつけるようにするといいでしょう。

よく杜氏(日本酒の醸造を行う職人)さんの手は麹のおかげでつるつるできれいと言われます。
塩麹や味噌を仕込んでいるなら、手つるつるになるんじゃない?とよく言われるのですが…。

塩麹にしろ、味噌にしろ、まず塩と麹を混ぜます。

私はもともと手荒れがひどいので、それが痛い…。

ので、薄手のビニール手袋をして行うので、残念ながら、麹の恩恵は手は受けず…。

がさがさです…。

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