2024年5月7日
その239 飲食店商売も環境との戦いなのです
「久しぶりの関西もいいわね、面白いわ。
東京と違って派手なのはなんで?」
「商売の街って感じで、面白いだろ。
派手なのは、それだけ商売の競争が激しいってことさ。」
「それにしても、『目立った者勝ち!』って感じで、前に来た時より、にぎやかな気がするわ。
日本じゃないみたい。」
「なかなかいいよね。
バカ高い海外より、これからは国内だな。」
「何言っているの、これはこれ、それはそれよ。」
「・・・。」
奥神様の楽しみ欲はとめどないようです。
ところで確かに以前より派手になっている大阪の街は賑やかですが、どうも内容も大きく変わってしまっていました。
商売は地域環境に合わせてやり方が変わるものなんだなあとつくづく実感しました。
【飲食店商売も環境との戦いなのです】
「商売は地域環境に合わせて変わるもの」という典型な例に出合ったので、今回は大阪道頓堀を取り上げたいと思います。
飲食店の店づくりをしていく上で重要な項目の一つに〔誘導機能〕というものがあります。
お客様が興味をもって“この店に入ってみよう”と思わせるようなファザード(外観)を考えることです。
それには、まず他の店より目立つということが重要なわけです。
真っ先に検討するのが看板です。
車両動線では200m手前から、歩行者動線では30~50m手前から、店を認識できるように設置を検討するわけです。
その際、《視界性》(食を意識していなくても見えてしまうこと)を第一に考えなくてはならないのが激戦地の宿命です。
まさに、大阪道頓堀はそのメッカというべき場所なのでしょう。
店頭にありきたりの看板を設置するだけでは他の店やお客様の流動によって埋没してしまいます。
『あの店があそこまでやっているのなら、うちは、より目立つものにしよう』という意識がエスカレートするとあのような街の特徴を生み出すのでしょうね。
そして、その街の雰囲気がまたお客様を誘導するという、良い循環を生み出しているというわけです。
有名な巨大な動くカニの「かに道楽」の看板が地味に見えるほどの看板大会は眺めながら歩くだけでも楽しいものです。
さらに、街の雰囲気という点においては、インバウンドを呼び込んで、現状は以前の様相を一変させてしまっています。
更なる選ばれる店になるべくエスカレートした結果と言えるでしょう。
ですがそれは商売という戦いの中では当然と言えば当然です。
そして、その中では円安・デフレ日本を謳歌する外国人向け価格を実践する店も現れていました。
〔たこ焼き1000円〕〔カニまん500円〕〔ソフトクリーム800円〕は他の観光地でも起こっていますが、神戸牛串焼きの12000円を路上でほおばっている外国人を見た時には驚きを通り越して呆れてしまいました。
圧倒的なインバウンドの力が日本の弱体化を物語っているような気がしてため息が出てしまいました。
でも、彼らをお客様とすることにシフトした商売のやり方を選択した経営者をリスペクトする気持ちも否定できません。大したものです。
我々はその時代のトレンド・環境に合わせて戦ってきた業界です。
大きく変わった環境の中では、その中で生き残る術を導き出すのは当たり前です。
先ほどの神戸牛も、今までは豪華な店内で上質の鉄板の前でしか売れなかったものが路上で串に刺して立って食べていただける環境になったのですから、そのチャンスを生かしただけなのです。
他の地域ではありえませんがね。
皆さんのお店も、アンテナを張って環境の変化にお気をつけくださいね。
ではまた。
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