2006年2月13日
「お客様」を「ファン」に変える3STEP(3)
2度目の来店でさらに「ファン」へと近づいたら、次は駄目押しの場面です。今回はお客様をファンに変えるための3STEP最終章です。
第3STEP 特別な対応
前回、2度目の来店時に行う「個別のサービス」のお話をしましたが、今回の「特別な対応」はそれとは少し違います。個別のサービスとは、お客様一人一人に対してその嗜好性に合わせた対応をすることですが、特別な対応とは、他のお客様(1~2度目の来店客)にはしないサービスをすることです。よい意味で「ひいき」をする。これが駄目押しの決定打となりうるポイントなのです。
考え方としては人を好きになった時、その相手に対してどのようなことを求めるのかという心理から導くと分かりやすいでしょう。このときの最大の欲求は「その人にとって特別な存在になりたい」ということではないでしょうか。
実は3度目以上の来店客にはそれに似た心理があるのです。そういう気持ちのあるお客様に対して他のお客様とは違うサービスを行うことは、いわばその気持ちを受け入れることになるわけです。逆に、その気持ちを受け入れなければ、いずれは醒めてしまうかもしれません。初めてのお客様に対して行うような声の掛け方や接し方はもちろんのこと、「個別のサービス」は継続して大切ではありますが、それのみを繰り返してもやがて飽きがきてしまいます。「あなたは特別な人ですよ」このような気持ちを表現できるかどうか。それがお店やスタッフを愛してやまない「ファン」にできるか否かのターニングポイントとなるのです。
「特別な対応」の例をいくつか挙げてみますので参考にしてみてください。それぞれでキーワードとなるのは「身内扱い」とでも言えるかもしれません。
お出迎え
「こんばんわ、お待ちしておりました!」(満面の笑顔で)
「こんばんは、今日は早いのですね(遅いんですね)」 等
商品おすすめ時
たまたま手に入った、メニューには出さない特別な商品や食材をすすめる。 等
その他
● 次期イベント等で考案中の試作品などを試食してもらう(感想等も伺う)
● 気の利いたデザートなど、ちょっとしたものをサービスする(メニューにないもののほうがなお良い)
● 店内スタッフや営業に関することで「楽しい裏話」を披露する
● 今後のイベント等の情報を話せる範囲であれば教えてあげる(アイデアなどについて質問してみる) 等
その他数え切れないほど「特別な対応」はあり、状況にあわせて臨機応変にして差し上げれば良いと思います。誤解しないでいただきたいのは、「身内扱い」だからといってなにも特別な割引をしたり、常にお店のメニューとは全く違う商品ばかりを提供するなどといったことをしなさいと言っているわけではないということです。そんなことをしたら商売ではなくなってしますし、他のお客様との不公平にあたります。なによりそのお客様との関係は良いものとは言えなくなってしまいます。また、馴れ合いのようになってしまって、友達同士で話すような言葉遣いをしたりするのも考え物です。あくまでも常識の範囲内で、いつもご愛顧いただいていることへの感謝と「大切にしたい」という気持ちを表現する対応が求められます。
3回にわたって「お客様」を「ファン」に変えるための接客、サービス術をお話しましたがいかがでしたでしょうか。共通項を見つけ出してお近づきになり、感謝と喜びを表現し、大切にする。これらをいつもきちんとできれば、「ファン」がたくさんついてお店の売上にも反映されます。ちなみに、「ファン」ができると他のメリットがある場合も多いものです。例えば、「ファン」となったお客様がいい店があると他の人を連れて来店した場合、「特別な対応」を受けているのを連れられた人が見ていいなぁと思い、自分も通おうかなと思ってくれることもありますし、そうなれば連れてきた「ファン」も鼻が高く、また違う人を連れてこようと思ったり、いろいろなところで口コミしてくれたりするものです。そうやってさらに「ファン」が増えていくのです。また、そんなお客様ばかりが溢れる店内で仕事ができるようになると幸せとやりがいをさらに感じることができるようになります。
接客、サービスとはいっても、私は人間との付き合い方と同じだと考えています。相手の嗜好や考え方、置かれた環境や立場を尊重し、感謝をして大切にしていく。地道なことではありますが、一人一人のお客様に気持ちを込めてアプローチしてみてください。きっと結果が出て楽しくなってきます。これからは飲食店も淘汰の時代に入ります。ことサービスにおいては本当の意味で一人一人のお客様を大切にすることが求められていると思います。
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