2006年4月11日
「チームワーク」と「コンビネーション」(2)
今回は前回お話した「チームワーク」をどのようにしてホールオペレーションの中に落とし込んで、店舗運営に役立たせるかについてお話してまいります。
「チームワーク」の定義
チームワークとは、同じ目的を持つ集団の各個人がそれぞれの役割と責任を明確にして、それを100%全うすることで一定の成果を上げることであり、いかに「同じ目的」を全スタッフで共有するかがカギとなります。これは、経験の長短や年齢差、役職などによって変わるものではいけません。
「お客様に心から満足していただき、『また来たい!』と思っていただくこと」
このシンプルな目的を徹底的に理解させなければいけません。いかにこれを理解させればよいのでしょうか。また、「役割と責任を全うする」ためにはどのような環境をつくる必要があるのでしょうか。
(1)スタッフ面接時
接客という仕事をするためには、いくつかの前提条件が必要です。それらを面接の中で見極め、文字通り「チームの一員」としてその人が溶け込めるか、そしてその中で輝けるか、を主眼として合否を慎重に判断します。
★ 「人」が好きか
★ 仕事に対して「お金」以外の目的を何かしら持っているか
★ 人柄は良いか(素直か)
以上のようなことをじっくりと見極め、心を込めて接客にあたれる人材を採用していきます。
(2)入店時オリエンテーション
面接時にも触れておく必要がありますが、入店時のオリエンテーションではもっと具体的に我々の仕事の目的を話して理解させていく必要があります。
★ 我々はこの仕事をすることで人間の余暇活動に奉仕して、社会に貢献をしている
★ 我々の給料はお店や会社からではなくお客様から頂いている。また、それはパートもアルバイトも店長や社長でさえ一緒である
★ 自分にとっての家族や友人など大切な人をもてなすようにお客様へ接し、仕事をする
(3)オペレーショントレーニング時
スタッフが初期に覚えていく仕事、例えば、食器、グラス等の洗浄や、テーブルバッシングやセッティング等の比較的簡易な仕事から、仕事の「目的」、それを担当することの「役割」を伝え、理解させて実行していくことが大切です。「チームワーク」を根付かせるためには、この初期段階が重要なのです。例えば、「今日からあなたもチームの一員です。グラス洗浄から覚えて仕事をしていただきます。初日とはいっても、グラス洗浄も大切な仕事です。グラスは綺麗に素早く洗います。あなたにとって大切な人に汚いグラスで飲み物を飲んでもらいたくないでしょう?きれいなグラスを提供すること、それが今日のあなたの担当で責任です」などと仕事の流れやコツだけでなく仕事の「目的」「役割」「責任」を担っているのだということをひとつひとつ教えていくことが非常に大切なのです。
(4)店内での責任範囲設定時
仕事の分担やゾーニングを設定する際には、以前お話したことがありますが、
1)具体的な範囲や仕事の種類を全て明確にする
2)仕事の出来映えを具体的に行動に即して言葉で明確にする
3)その中のひとつひとつの仕事の優先順位を設定する
4)出来映えに到達するためのポイント(観察や判断のポイント)を明確にする
ことが大切です。
(5)その他
スタッフを常に認めるような態度で接し、教えていくこと
★ スタッフの立場に立って指導すること
★ スタッフによってえこひいきなどをしないこと(信賞必罰)
★ リーダーの率先垂範行動
等メンタル面でのケアやブラッシュアップもチームワークを維持するためには大切な事項です。
以上が強いチームワークを作り出すために必要な主な事柄です。次回は「コンビネーション」についてお話しようと思います。組織として一丸になり、より強くするために必要なキーワードですので覚えていきましょう。
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