2005年12月1日
「お客様」を「ファン」に変える3STEP(1)
「お客様」と「ファン」の違いはどういったものでしょうか。ご来店された人はもちろん全員「お客様」なのですが、「ファン」とは「熱狂的なお客様」と言い換えられるかもしれません。
「熱狂的」なわけですから、来店リピート回数も高いでしょうし、使う金額(売上比率)も高いのはいうまでもありません。時には、来店されるだけでなく、様々なシーンでお店やスタッフの力になってくれることもあるでしょう。ですからファンが多ければ多いほどお店の経営も安定します。競合店が現れたとしても「ファン」が多ければ売上低下という悪影響は少なくなります。 お店やスタッフを愛してやまない「ファン」を創造するためのサービス面でのノウハウを今回からお話してまいります。
「お客様」を「ファン」に変えていくことは友人や恋人をつくる時のプロセスと似ています。
こちらから全くアプローチをしなければ仲が進展することもあまり期待できません。友人や恋人ならば「偶然」という場合もしばしばでしょうが、飲食店経営においては戦略的にプロセスを組み立て、積み重ねて「ファン」を数多く創造していかねばなりません。そのプロセスには大きく3段階あり、それを忠実に経ていくことが大切です。第一のステップについて今回はお話します。
第1STEP 接近
友人や恋人をつくりたいと思った時、皆さんはまずどのように行動するでしょうか。いきなり「友達になってください」とはあまり言わないはずです。はじめに有効な手法は、相手と自分との「共通項」を作り出すことと「深い印象」を残すことです。飲食店でお客様と「接近」する際にも「共通項」と「深い印象」が大変重要なキーワードとなります。では具体的にどのように接近していくのかお話しましょう。
例えば商品のおすすめをする際、「当店のおすすめは“あんこうの唐揚げ”です」と言うのと「私、柴田の本日のおすすめは茨城産直送の“あんこうの唐揚げ”です。朝獲れたてで品数も限られております。ぜひいかがでしょうか?」と言うのとどちらが興味をそそられるでしょうか。後者のほうがオーダーしたくなるでしょうし、食べたときの美味しさも格別なものになることでしょう。また、”あんこうの唐揚げ“に対して「深い印象」を刻み付けられることでしょう。そして後ほど料理の感想をうかがう際にも、反応が良いだけでなく、会話が弾むきっかけにもなるのです。その時に、「次回はぜひいらっしゃる前に、私、柴田に『あんこう取っておいて』とご連絡ください。お取りおきしておきます!」とでも言えばバッチリです。お客様と自分自身の間に”あんこう“という共通項ができたことになるのです。
他にも名札に出身地や血液型やキャッチフレーズを書いておくなどの手法もあります。同じ出身地や血液型のお客様が話しかけてくることもあるでしょうし、キャッチフレーズに興味をそそられて話しかけてくるお客様もいるかもしれません。その際には気の利いた会話をして同様に「深い印象」と「共通項」を作り出してゆくのです。
さらに、接近ができたなと思ったら「アンケート」を口頭でお願いして書いていただくようにするとより効果的です。「アンケート」はお店が向上するためのツールとしてだけでなく、「共通項」をつくる強力なツールにもなるのです。感想の欄に「あんこうの唐揚げがすごく美味しかった」とか「お肉をもっとよく焼いてほしかった」などと書かれていたら、後日、サービス券付のDMを出すのです。その際、手書きで「あんこうはご連絡していただければ、お取りおきしておきます」とか「次回は『お肉をじっくりよく焼いて』と遠慮なくお申し出ください!」などと書いておくのです。そうそれば、次回来店時の「STEP2」のサービスに活きてくるのです。
次回は接近した後、行う「STEP2」についてお話することにします。
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