コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2015年1月13日

その127 『お客様の納得できる値上げを考えよう』

「年初から、なんだか値上げの話ばかりですね。

こう食材が上がってしまうと我々は苦しむばかりで困ったもんです。」

こんな声があちらこちらで聞こえてきています。

そんななか、25年ぶりにケチャップのカゴメが4月から値上げをするといいます。

南米が原産のトマトは新聞社の人気ランキング調査では最も好きな野菜NO1に輝いています。

明治の時代から赤茄子と呼ばれていたトマトはそれだけ、私たちになじみ深いものでもあります。

また円安の影響かと思いきや、それよりも、新興国を中心に食料の需要が増えて、トマトペーストの相場が高騰しているのが主な理由らしいのです。

食糧事情が理由ということは、人口が増え、発展が続く新興国の躍進は食料需要が最も影響を受けやすい日本を考えた時、値上げの波はこれからも続いていくということでしょう。

身近な食材が高騰するなか、我々はどう対処していくべきなのでしょう。

『お客様の納得できる値上げを考えよう』

「このままではやっていけない」

「利益が消えていくのをただ見ているわけにはいかない」

「単価を上げれば売り上げも上がる」

「業者が上げてくるからしょうがない」

「もう我慢の限界だ」

これらの理由だけで値上げを敢行すれば、大きな客数減を招くことは賢明な皆さんはお分かりですよね。

値上げの改定には少なからずお客様の同意が必要になります。

その同意とは普段からのその店その会社の努力や誠意が見えていることだと考えます。

そして何より値上げ時点での努力・誠意が見えることなのです。

社会マインドが「値上げやむなし」の流れを見せていようが、メニュー分析により捨てメニューを発見、全体に影響がない安全を担保に上げられそうな状況にあろうが、お客様不在の値上げは根底を崩しかねません。

消費の二極化はすでに多くの人が認識していることですが、納得すれば多少高くてもお金を払う「プレミアム消費」が拡大する傾向にありますね。

「高価格商品」が売れているファミレスがよい例です。

消費者に商品の価値や買う理由を提示できている企業は業績を伸ばしているのです。

値上げに際して、お客様に納得していただけるよう、食材を吟味する、その商品の盛り付け・見栄えを変えてより良いものにする、付け合せの内容を吟味する。

また、これを機会に食器を新しくする、お客様の居心地感向上のため店内設備を変える、新商品を導入しお客様の興味を刺激する、等など・・・。

これらはわざわざの面倒な仕事ですが、お客様には明確に伝わる努力・誠意なのです。

この先長くこの業界で生かしていただくためには本や権威から星をもらうことを目標にするのではなく、目の前のお客様から納得してもらって喜んでいただき、笑顔をもらうことが一番です。

お客様から笑顔の三ツ星もらいたいですね。

ではまた。

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