2015年3月10日
その129 『100年つづく店にするには訳が必要です』
「先生、ちょっと早い時間で打ち合わせいいですかね。
武蔵小山なんですけど、2時半から飲める店があるんで。」
「2時半?!
飲むのはいいけど、そりゃまた早いね。
何の店?」
「いや、行ってみて、先生のご意見を。」
てなわけで、「渋英」の望月社長と武蔵小山駅前で待ち合わせしました。
15分早く着くと社長もすでにそこに。
「先生、ちょっと早いですからあそこで一杯」ということで、駅前の焼き肉スタンドに寄りました。
駅前の焼き鳥スタンドはまだ午後2時過ぎだというのに繁盛しています。
長い歴史が焼き鳥をシステマティックにしてあります。
焼き台のすぐ上が排気ダクト、焼きあがった焼き鳥が冷めない湯煎の工夫等など、狭いながらも様々な「運営の知恵・工夫
がされています。
感心しながらビールを1杯の後、「では、ソロソロ行きますか」と店に向かいます。
歩くこと3分。
お目当ての店は、まだ暖簾も出ていません。
外観は昔からの駅前食堂といった風情で、一般の人はまず扉に手をかけない店構えですが、なかに入ると、そこには繁盛店が長く続くヒントがイロイロと・・・。
『100年つづく店にするには訳が必要です』
「暖簾が出ていないからまだじゃない?」
「いやいや、そういうの無視して入りましょう。
「えぇ~」
開店前の店内に入ると25席ほどがもうほとんど満席です。
なんじゃこりゃ。
そこは、昭和のテイストを色濃く残す「牛太郎」という名前の「働く人の酒場」でした。
渋すぎる!
セピア色の壁に使い込まれたカウンター席!
まるで昭和で時間が止まった店内。
「ポテトサラダ(120円)
「モツ煮込み(120円)」丁寧に炭で焼き上げたモツ焼きは150円以下なのに、座って呑める点は驚きです。
もう50年以上の店ですが「働く人の酒場」というコンセプトを貫いているのがよくわかります。
安いだけの店ならいくらでもありますが、安いからと品質を落としたり、手を抜いたりする店は長続きしません。
あのダイソーだって一時つぶれそうになったのはそれを気がつかなかったからです。
もちろん、そこそこの価格で営業するには更なる努力が必要な訳です。
最初に頼んだ「もつ煮込」「ポテトサラダ」ではっきり手作り手間がかかった品質を感じさせてくれました。
主人と息子の仕事ぶりは無駄がありません。
客との会話があっても二人の無駄話は一切ありません。
たんたんと仕事に向き合っています。
出てくる商品は充分なCPであったのも満足です。
「もうそろそろ帰りな、カラダ壊すよ
「え、なんだよ、もう一杯飲むよ!」
「ダメダメ、もう帰りなって。
酒はもう出さないよ」
帰されているお客さんを見ると、ちょうどいい加減の雰囲気です。
地域とともにある店の接客を見た思いがしました。
「そろそろ、あんたらもいいんじゃないかい?
待ってる人もいるからさ」。
嫌味なくフレンドリーに諭されれば、わがままは言えないものです。
確かにもう2時間半になろうとしているころでウエイティングが6~7人、(こりゃ自分たちだけが堪能していたら申し訳ない)、石田の心がそうつぶやきました。
2人で〆て3750円、間違いなくお値段以上でした。
お値段以上と思わせる訳を持っている店と持っていない店、どちらが100年続くかは明白ですね。
ではまた。
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