コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2015年9月8日

その135 『人材教育はデッドラインを決め、できるだけやる方向で』

「ボクは父親が破産したもんですから中学を卒業してすぐ働いたため、世間の人と比べて勉強不足なことばかりです。

だから問題があると思う社員がいても自分や会社に何かが足りないのだと考えるようにしているんです。」

なんと謙虚な言葉でしょう。

《艱難汝(かんなんなんじ)を玉(たま)にす》(苦労を通して人間は成長する)という言葉がありますが、正にこの言葉が当てはまる顧問店の社長です。

しかし、社員の借金を肩代わりし、女性問題の相談に乗り、挙句は警察沙汰の身元引受人になるなど親以上の親代わりをしている社長もたくさん見てきましたが、恩返しされたエピソードはあまり聞いたことがありません。

恩返しどころか、相談に乗ってもらいながら自分だけ缶コーヒーを飲んでいるやつ、おごってもらっても「ご馳走様でした」も言わない輩(当たり前とおもうな)、「ウチの給料は水準以下だなあ、世間よりだいぶ低いよ」と社内で愚痴を言う人(世間に行け)、伯父が死んだと一年に一回連休するやつ(伯父が何人いるんだ)、忙しい日に限って休む人、突然出勤しなくなる人、飲食店が合わないからやめます(今言うか!)等など、上げればキリがありません。

さて、どう考えますか・・・。

『人材教育はデッドラインを決め、できるだけやる方向で』

顧問店の社長と事務所で打ち合わせ中のことです。

「社長のところのスタッフは本当に素晴らしいですね。

私たちも見習わなければと本当に勉強になります。

いつ来ても感心します。」

店に食事に来て、その足で事務所に挨拶に来た銀行の女性支店長の言葉です。

「いえいえ、とんでもない、まだまだです。

もっと勉強しなければと思っています」と社長は答えていました。

我々の業界でも人材教育は昔から重要だと言われてきました。

ところがあきらめの境地で「人は当てにならないから期待はしない。

できるだけ効率化・機械化して数字を作るのが事業」という考えを語る社長もおられます。

裏切られ、裏切られ続けると信用するのが怖くなるのでしょうね。

現代語裏辞典(文芸春秋・筒井康隆)では《艱難汝を悪魔にする》(逆境はヒトを頑なにし狡猾にもする)と、ありますが確かにうなずける部分もあります。

しかし、前述した銀行支店長が感心したスタッフが育っているような教育が成功している店もあるのです。

先が見えず、成就して初めて良かったと思えるのが教育です。

ぜひあきらめずに行っていただきたいと思います。

とはいえ、教育には我慢とコストも掛かります。

ここまでやっても駄目だというデッドラインを決めて行うのがいいでしょうね。

裏切られた過去は過去、《ふりむくな、ふりむくな、後ろには夢がない》(寺山修司)ということでしょうか。

ではまた。

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