コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2017年5月9日

その155 今を楽に将来も楽に、経済的にもずっと楽に、はあり得ない

「世間様はいいわね、GWだというのに、ウチは何も予定ないのね。

あ~ぁ。」

「なに言ってるんだ、渋滞と混雑、観光地は高いばっかりでろくなもんないぞ。

皆おかしいんじゃないか、金出して苦しみ買っているようなもんだ。」

「みんな普段働き過ぎだから、こういう時にそういう大変な思いも込みで、想い出作っているの!

ウチでゴロゴロしているとまた太るわよ、さらに!」

「そうかぁ、そんなに働いているか日本人?」

という、いつもの身内話ですが、日本人って働き過ぎなんでしょうか?

【今を楽に将来も楽に、経済的にもずっと楽に、はあり得ない】

先進国の中で日本人がかなり怠け者で労働生産性も最低だということを皆さんはご存知でしたか。

最近私も知ったのですが驚いたことに『データブック国際労働比較2016』によると週労働時間(製造業)で日本人はG7(先進7ヵ国)の中で労働時間がかなり短いほうなのです。

週労働時間(製造業)は37.7時間(厚生労働省調べ)。

調査対象の米国の42時間や英国の41.4時間、ドイツの40時間より少なく、フランスの37.8時間、カナダの37.1時間と変わらないのです。

それなのに、まだ政府は労働時間を短くしようと長時間労働の規制を含む「働き方改革」を推進画策しています。

飲食業界で働く従業員の中にはこのような政府の方針を都合よく解釈し、働き過ぎを主張する者がいます。

「人手商売」と言われるこの業界は手作り、手作業で成り立っています。

オートメーション作業とは違って人間個々のスキルによって時間が長短しますから未熟な人ほど時間がかかります。

労働時間短縮は生産性をあげる一人前になるまでが長くなるということです。

会社にとっても本人にとってもいいことがないのですが、職人ではなくサラリーマン化した従業員が主張するのは残業の件・労働時間の件と環境・福利厚生です。

会社として働く人のことを考えるのは当然ですが、働く人もまた然り。

働く人も会社のことを考えてもらいたいものですが、そうでない人が増えているのも事実です。

働くのは嫌だけど、豊かな生活がほしいというのは、虫がよすぎます

「働きすぎは悪」

会社の誰も頑張らないし踏ん張らない、そこに未来があるのでしょうか。

あのバブルと言われ浮かれていたころでさえ2000時間を超えていた年間の総実労働時間は少なくなり続け、’14年には1729時間にまで減少しているのですから(OECD調べ)溜息が出ます。

今の日本の豊かさは、高度経済成長期の長時間労働を頑張った方々がいたからではないでしょうか。

それを否定することは日本の豊かな未来を否定することにつながらないでしょうか。

本当に心配です。

飲食業界にとっても日本が豊かでないと困るからです。

そもそも働かないで豊かさだけを得ることができるのか、ということをわかってもらいたいですね。

ではまた。

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