コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2019年5月7日

その179 飲食店スタッフは技術者、時間で働くものではないはず

「令和新時代おめでとう。

新しい気持ちで頑張らないとね。」

「あら、あなたには珍しく、ひねくれてないのね、まともな言葉だわ。」

「陛下の譲位と新天皇の即位だぞ。

日本国民として祝うのは当たり前だろう。」

「そうね、国民としてしっかり働いてね。」

「働くのが大事なのに世間は10連休ではしゃいでいる。

しょうもないな。」

「何言ってるの、国が決めたことでしょ。

世間は悪くないわ。」

「まあ、そうだけど日本人働かなくなったなあ。

どんどん新興国にやられてるのに。」

【飲食店スタッフは技術者、時間で働くものではないはず】

今、中国で日本の働き方改革について、賛美の声が多数上がっているようです。

労働時間のあり方、週休二日制について、有給休暇のあり方についてなど、日本を見習えということのようです。

中国では996労働がやり玉に上がっているのです。

996とは「午前9時から午後9時まで、週6日」の意味です。

特にテクノロジー業界では当たり前のような働くスケジュールです。

つい最近までの我々飲食業界も似たようなものでした。

未熟な技術者として会社に入ったものは、時間で解決しなければ一人前になれません。

必然的に長時間になったわけです。

そして、それは納得していることで残業代をよこせ、休日を与えろなどという発想にならなかったのです。

技術を磨くことが将来の自分を作ることだと考える人が多かったからです。

ところが時代とともに、人というだけで労働時間の大切さが言われるようになり、内容は問われず、個人の時間の貴重さを制度化してきた結果が今です。

(労働者に対する政府の忖度でしょうか)

中国に抜かれ、新興国に追いつかれ始めているのは当たり前ですね。

そんな折、中国でも労働者たちが騒ぎ始めたわけです。

これも日本の後追いと言ってもよいのではないでしょうか。

ところが先日こんなニュースが流れてきました。

アリババ・グループ・ホールディング共同創業者で富豪の馬雲(ジャック・マー)氏はハイテク業界で働く人々が超長時間労働の業界文化を受け入れることをあらためて支持した。

同氏はテクノロジー業界の悪名高い1日12時間、週6日の労働慣行について、情熱的な若い働き手にとって必須のものだとして、重ねて支持を表明した。※ブルームバーグより

彼は以前も典型的な8時間労働のワークスタイルを期待する人を切って捨てる発言もしています。

私も思うのですが何も長時間働くことが偉いということではありません。

やるべきことができて技術も一定レベルに達しているのであれば短時間でもいいでしょうし、愛社精神があり、技術レベルが高ければ休日も報酬も要求して構わないということです。

時間だけを売りにしている人間が権利を主張するのがおかしいのです。

ジャック・マー氏も言葉の中に長時間労働は〈情熱的な若い働き手にとって必須〉と言っているのです。

そしてこうも付け加えています。

「996のスケジュールに関する数日前の私のコメントは、予想通り議論とノンストップの批判を引き起こした」、「これは理解できるし、私は『正しい』発言をすることもできた。

しかし、今の世界は『正しい』ことを言う人には事欠かず、足りないのは人々に考えさせる真実の言葉だ」※ブルームバーグより

中国労働者に〈日本みたいに他の国に抜かれるよ〉と教えてあげたいですね。

ではまた。

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